2024年度計画は、製造業が牽引し、全産業ベースは3年連続増加
~四国地域 設備投資計画調査~

株式会社日本政策投資銀行

Research

2024.10.17

調査概要

㈱日本政策投資銀行(以下「DBJ」という。)は毎年、国内の設備投資動向の調査を行い、DBJ四国支店は四国地域における動向を公表している。原則、資本金1億円以上の民間企業を対象とし、全国の回答企業(5,373社)を対象に四国地域で実施される設備投資額を集計したものである。2024年8月に公表した調査では、四国地域に設備投資を実施すると回答した企業は332社であった。

非鉄金属、紙・パルプ、繊維など製造業が四国全体の増加を牽引

四国地域の2024年度計画は、非製造業が減少(▲4.6%)するものの、製造業が大幅増(22.3%増)となることから、全産業でも二桁増(14.4%増)となる。

業種別にみると、製造業では、中長期的な需要増加を受けたEV関連部品の能力増強投資や資源循環に係る投資がある非鉄金属や、低・脱炭素関連投資、新素材製造に係る能力増強投資がある紙・パルプ、繊維および化学などが増加することから、全体では大幅増となる。非製造業では運輸、不動産などが大型投資の反動減により減少することから、全体では5年連続減少するも減少幅は縮小する。

香川県は3年連続の二桁増の計画

香川県の2024年度計画は、製造業、非製造業ともに増加し、全産業ベースでは3年連続の二桁増(13.9%増)となる。

製造業は、前年度に製品高度化に向けた工場増設のあった化学や、工場新設投資が剥落する食品が減少するものの、資源循環を含む能力増強投資のある非鉄金属や輸送用機械、電気機械が増加することから、全体では3年連続で増加(6.1%増)する。非製造業は、エネルギー関連投資のあった不動産が減少するが、船舶関連や脱炭素対応投資のある運輸や通信・情報が増加するため、全体では4年連続で増加(30.2%増)する。

脱炭素社会を見据えた投資や資源循環に関する投資

今年度は、脱炭素に向けCO2削減に係る投資意欲が強まっていることに加え、資源循環・リサイクルに関する投資など、中長期的な社会構造の変化に対応する積極的な投資が見られる点が特徴的で、四国地域における設備投資マインドは概ね堅調である。

脱炭素対応投資では、全体の伸びを牽引している非鉄金属において、EV向けの電池用次世代正極材料を中心とする能力増強投資があるほか、石炭・石油の燃料をLNGなどへ転換する投資やコジェネレーション投資、また省エネ設備導入や太陽光などの再エネ関連の投資も幅広い業種で見られた。資源循環・リサイクルに関する投資では、廃電池等からレアメタルを回収する処理能力増強や、工場から排出された廃棄物を原料として再利用する資源化施設建設などが実施及び計画されている。

人手不足が課題も、省力化や人的投資に期待

足下の重要テーマに関する企業の意識や見通し等を把握する目的で当調査と同時に実施した「企業行動に関する意識調査」によると、全国的に多くの企業が物価上昇や為替変動と並び、人手不足を今後のリスクとして認識している。人手不足への対策としては、業務の削減・合理化のほか、デジタル技術の活用や機械・ロボット等を活用した自動化投資を検討する企業も製造業・非製造業ともに高く、今後の設備投資につながる可能性がある。

香川県をはじめとする四国地域においても、今後はCO2削減関連投資の加速のみならず、全国平均を上回るスピードで加速する人口減少を背景に、ロボットやデジタル技術も活用した省力化や既存の人材を最大限活用するための人的投資が活発化することが期待される。

株式会社日本政策投資銀行四国支店 企画調査課 副調査役 藤岡 亜希子

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