前年同期比11件増、過去10年との比較で最多
2025年度上半期香川地区企業倒産状況 (4月~9月)

東京商工リサーチ

Research

2025.11.06

倒産33件、負債総額62億円

2025(令和6)年度上半期香川県企業倒産状況(負債総額1000万円以上、内整理を含む)は件数33件、負債総額62億5200万円。倒産件数33件は、前年同期比11件増となった。過去10年との比較で件数は最多。負債総額は前年同期比12億8000万円増、過去10年間との比較で2番目だった。

市郡別では、高松市が19件で最多、以下、丸亀市5件、東かがわ市3件、三豊市、綾歌郡各2件、坂出市、観音寺市各1件だった。善通寺市、さぬき市、小豆郡、香川郡、仲多度郡の倒産はなかった。

形態別では、法的倒産31件(破産29件、特別清算2件)、銀行取引停止2件だった。新型コロナウイルス関連倒産は33件中11件(構成比33.3%)だった。

『不況型』倒産は29件で構成比87.8%

原因別では、販売不振が26件(構成比78.7%)で最多、既往のシワ寄せ3件、放漫経営、過小資本、他社倒産の余波、その他が各1件だった。『不況型』倒産は29件(前年同期20件)、構成比は87.8%だった。

建設業、サービス業他が各10件と最多

産業別では、10産業のうち7産業で倒産が発生した。建設業、サービス業他が各10件で最多、製造業、卸売業が各4件、小売業が3件、農・林・漁・鉱業、不動産業が各1件だった。金融・保険業、情報通信業の倒産は前年同期に引き続き無かった。

9月1日に財務省が公表した四半期別法人企業統計調査(2025年4-6月期)は、経常利益は全産業で0.2%増だったが、製造業は11.5%減、特に輸送用機械は29.7%減と減少幅が大きかった。そうしたなか、9月4日にアメリカの日本に対する相互関税が15%に落ち着いた。現時点では中小企業に相互関税の影響は小さく、金融機関への相談は少ない。また、関税は懸念材料の一つだが、金利の上昇局面でもあり予防的な資金調達の動きは目立たない。全国信用保証協会連合会がまとめた「信用保証実績」によると、25年7月の保証承諾件数は5万1097件で、12カ月連続で前年同月を下回った。代位弁済も3886件で、5カ月連続で前年同月を下回った。倒産が増勢をみせるなか、逆の動きになっているが、この背景には返済猶予(リスケ)が活用されている可能性もあり、代位弁済の先送りかどうか注視が必要だ。

物価高や人件費上昇に加え、金利引き上げ、トランプ関税など、経営リスクが増えている。業績回復が遅れた中小企業は、過剰債務を抱えて新たな資金調達も難しいだけに、これから年末の資金需要に対応できない企業の息切れが、倒産を押し上げる可能性が高まっている。

東京商工リサーチ四国地区本部長兼高松支社長 波田 博

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