四国産クラフト酒類、インバウンド市場での可能性

ジェトロ香川

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2025.11.06

ジェトロは2025年8月、高松駅前および高松空港にて四国産クラフト酒類のインバウンド向け受容性調査を実施した。瀬戸内国際芸術祭などを契機に増加するインバウンド観光客を対象に、クラフトビール、梅酒、ワイン、ラム酒、リキュール、焼酎などの試飲イベントを通じて認知度や購買意欲などを探るもので、四国産クラフト酒類の海外展開に向けた実証的な取り組みとなった。両イベント合わせて四国4県から15社が参加し、604名から1,360件のアンケートを回収した。

調査では、訪日回数が5回以上のリピーターが全体の70%を超え、特に直行便が就航している国・地域からのインバウンド観光客が多くを占めた。瀬戸内国際芸術祭夏会期ということもあり、高松駅前では欧州や欧米からのリピーターの姿も目立った。中でも、「四国4県への来訪経験が多いほど、四国産クラフト酒類に対する評価が高かった」という点は特筆すべきであり、輸出戦略においてリピーターに対する露出機会増、認知度向上は重要な要素であると考えられる。また、試飲前の認知度は18%と低い数値にとどまったが、試飲後、特に20代の若年層を中心におよそ70~80%が「購入したい」という意向を示したことから、「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」の旅行段階に応じ、オンライン・オフラインを組み合わせたプロモーションが必要とも考えられる。

高松空港実施分では、銘柄ごとにポートフォリオ分析も実施し、インバウンドから見た商品の強みや課題が可視化された。例えば、ラベルについて、日本や四国の魅力が伝わるという点が評価された一方、日本語表記のみで商品の内容が分かりづらいといった点は改善の余地がありそうだ。

参加した15社のうち多くは輸出未経験企業であり、今後輸出を目指すにあたっては、国・地域別の嗜好や購買行動に基づいたマーケティングや輸出戦略の策定が求められる。
インバウンド市場は単なる販路ではなく、地域の魅力を地域から世界に発信する絶好のチャンスでもあるため、今回の調査結果が、四国の事業者の今後の輸出実現の一助となることを期待したい。

※ジェトロYouTube『世界は今』「インバウンド観光客からのヒント 瀬戸内の酒 認知度UPへ」

※ジェトロビジネス短信「高松空港でインバウンド向け四国産酒類試飲イベント実施」

ジェトロ香川 係長 金子 優

ジェトロ香川(独立行政法人 日本貿易振興機構 香川貿易情報センター)

住所
香川県高松市番町2-2-2 高松商工会議所会館5階
代表電話番号
087-851-9407
事業内容
中堅・中小企業の海外展開支援
グローバル時代の地方創生と人材育成
所長
水田賢治
地図
URL
https://www.jetro.go.jp/jetro/japan/kagawa/
確認日
2025.01.03

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