「新設法人」数は744社
全国では最多件数を更新するものの、県内は前年比0.1%減~ 2024年「香川県新設法人動向」調査 ~

東京商工リサーチ

Research

2025.07.03

微減も起業環境の追い風続く

2024年に香川県で新しく設立された法人(以下、新設法人)は744社(前年比0.1%減)で、僅かながら前年比で減少となった。一進一退を繰り返した新設法人数は、コロナ禍初期の設立控えの反動もあって2023年に745社に達した。経営者保証に拠らない融資の促進、商業登記規則改正による代表者の住所地の非表示対応(24年10月)など、起業促進の取り組みもあり、新設法人はしばらく高水準が続きそうだ。

法人格別 増加が続いた合同会社の増加率は横ばい

法人格別の社数は、株式会社が481社(前年比0.2%減)で最多だった。全体の6割強(構成比64.6%)を占めた。前年比では0.2%の減少となった。次いで、設立コストが安く、株主総会が不要など経営の自由度が高い合同会社は、211社(前年比同数)で、一般社団法人は32社(前年比6.6%増)、その他11社(前年比57.1%増)、特定非営利活動法人6社(前年比25.0%減)、医療法人3社(前年比57.1%減)となっている。

産業別 サービス業が最多

産業別は、10産業のうち、卸売業、小売業、不動産業、サービス業他の4産業が増加、建設業は横ばい、農・林・漁・鉱業、製造業、金融・保険業、運輸業、情報通信業の5産業が減少した。産業別では例年通りサービス業他が328社と最も多く設立された。以下、建設業が119社、小売業が82社、不動産業57社、製造業が53社、情報通信業が38社と続いた。

資本金別 増加率トップは1千万未満5百万円以上

資本金別は、5百万円未満1百万円以上が386社(構成比51.8%)で最多。次いで、1百万円未満213社(同28.6%)、1千万円未満5百万円以上73社(9.8%)と続いた。増加率の最大は、1千万円未満5百万円以上の5.7%で、1億円未満5千万以上は設立が無かった。資本金1千万円未満の企業は720社で全体の96.8%を占めた。

休廃業・解散が増加、純増数は257件へ減少

24年香川県の休廃業・解散は434件、企業倒産は53件だった。前年23年と比較すると企業倒産は10件減、休廃業・解散は53件増加しており、市場から退出する企業が生じる中、新設法人は前年比1社減となった。増減差は、24年は257件で、前年比44件の減少となった。21年の339件に比べ24.2%減少しており、市場から撤退する企業の抑制と創業支援は両建てで必要となる。

全国の新設法人、過去最多 官民の起業支援が後押し

一方で、全国の新設法人は15万3938社(前年比0.3%増)で、統計を開始した08年以降で過去最多を更新した。政府や自治体、金融機関などは、起業・創業やスタートアップ支援を加速している。融資や補助金、税制措置などに加え、規制緩和やビジネスプランの策定支援やテストマーケティングなど、実際の事業に近い支援プログラムなど多岐にわたる。こうした取り組みが一定の成果をあげているようだ。

東京商工リサーチ四国地区本部長兼高松支社長 波田 博

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