OEMと自社ブランド 両輪で刻む新たな歴史

レガン 社長 砂川 泰三さん

Interview

2020.11.19

グラウンド・ゴルフ用手袋「miLait(ミライット)」を手に=三木町のレガン本社

グラウンド・ゴルフ用手袋「miLait(ミライット)」を手に=三木町のレガン本社

ノウハウ生かし新分野に挑む

手袋用の素材でつくった「らくらくマスク」

手袋用の素材でつくった「らくらくマスク」

野球やゴルフ向けのスポーツ用手袋やファッション手袋など、手袋一筋半世紀余りの歴史を誇る株式会社レガン。2代目社長の砂川泰三さん(49)は今年、新分野での商品開発にチャレンジした。「マスク」だ。コロナ禍でストップした取引も多く、「打開策の一つとして、これまで培ってきた手袋製造のノウハウを詰め込みました」

素材はスポーツ手袋で使うニット生地。通気性や伸縮性に優れフィット感があり、長時間着けていても耳が痛くならない。抗菌や消臭加工も施す。ただ、ニットは目が粗いので、「飛沫防止用に『不織布シート』を口元のポケットに差し込めるようにしました」。不織布は、繊維をきめ細かく絡み合わせた人工皮革。やはり手袋に使っている素材だ。「周囲の人の多さなど、状況に合わせて“2WAY”で使ってほしい。シートを外せば息苦しさもないので、スポーツにも向いていると思います」

企画から販売までを自社で手掛けたマスクには、「らくらくマスク」と名付けた。“商品に自分たちで名前をつける”。そこには砂川さんの、ある強い思いがある。

『良い』『悪い』、両方聞きたい

「miLait」のボタン部分はマグネットで、 ボール位置を示すマーカーをつけられる

「miLait」のボタン部分はマグネットで、
ボール位置を示すマーカーをつけられる

レガンの主な取引先は国内の大手スポーツメーカー。他社のブランド名で販売される製品をつくるOEMが売上のほぼ100%を占める。多くのトップアスリートも愛用しているため、「シビアなニーズに応えられるようスキルアップに努めてきた。極限で戦う一流選手を満足させられるだけの商品をつくっているという自負もあります」

ただ、一方で「もっと強靭な会社になるためには、自分たちで一から商品をつくり上げる『提案型企業』を目指していかなければなりません」

今年誕生した自社のオリジナル商品がもう一つある。「グラウンド・ゴルフ用手袋」だ。グラウンド・ゴルフとは、ボールをゴルフのようにクラブで打ち、ホールポストの輪の中に入れるまでの打数を競う競技。昭和50年代に日本で生まれた高齢者に人気の生涯スポーツで、現在国内で約300万人の競技人口は、10~15年後には倍増するのでは、とも言われている。だが、まだまだ歴史が浅いため、市場は未開拓だ。「ゴルフと同様、ボールを打てば衝撃があるので手を守らなければならない。グリップ感やフィット感も大切。スコアをつけるなど細かな手作業もできるよう、最適な素材や構造を模索しました」

新たに開発した手袋の名前は「miLait(ミライット)」。made in Les Gants(レガン)all ideaの頭文字を並べ、最後にtを添えた。「自分たちでつくった、自分たちのブランドなんだ、という思いを込めました」

OEMを経営の軸にする気持ちは変わらない。ただ、自社開発を取り入れることで、これまで主だった「B to B」に、「B to C」を加えることができる。お客さんとの距離も近づき、「生の声が届くようになる」と砂川さんは力を込める。「お客さんの意見を聞くことで、ニーズをつかむことができる。『良い評価』も『悪い評価』も両方聞きたい。その声を設計やデザインに生かすことで、さらに成長できると思っています」。将来、自社ブランドを売上の2割まで伸ばすことが砂川さんの大きな目標だ。

“感覚”から“数字”へ

レガンは1962年に砂川さんの父が創業。バブル景気にも乗り、会社は大きくなった。しかし、バブル崩壊後は主力のゴルフ市場が縮小。ゴルフ部門の売上が4分の1に落ち込むなど厳しい時期も続いた。父からバトンを受けてまもなく10年。「会社の歴史を変える覚悟でやってきた」と振り返る。

「生き残るためには、社会の変化、時代の変化に合わせて、柔軟に形を変えていかなければなりません」

社長になった頃、仕事のやり方と言えば「経験」や「勘」に頼るのが当たり前だった。「感覚や感性で仕事をする時代は終わった」と、砂川さんは「数値化」を徹底。利益率などあらゆるものを数字で示し、社員にコスト意識などを植え付けた。また、フィリピンやベトナムなど海外に自社工場を開設。「日本至上主義」の当時の業界では異例だったが、「生産効率などが大幅にアップした。今では我が社の大きな強みになっています」

変えるべきところは変える。だがもちろん、絶対に変えないこともある。「技術を磨き、高品質なものづくりにこだわる。先代から受け継ぐこの精神は、頑なに守り続けます」

良いショットを打つ、手を守る、温める……「あらゆるシーンで『あって良かった』と思ってもらえる手袋をつくり続けたい」と砂川さんは繰り返す。「この会社で働く人、商品に関わる全ての人たちの暮らしを少しでも豊かにしたい。それを実現できるよう環境を整えるのが私の使命だと思っています」

篠原 正樹

砂川 泰三 | すながわ たいぞう

1971年 三木町生まれ
1990年 麗澤瑞浪高等学校(岐阜)卒業
1995年 帝京技術科学大学 卒業
     株式会社レガン 入社
1997年 中小企業大学関西校 後継者育成コース 修了
2007年 株式会社レガン 取締役常務
2011年 代表取締役 就任

株式会社レガン

住所
香川県木田郡三木町大字上高岡356-1
代表電話番号
087・898・1211
設立
1962年11月創業
事業内容
スポーツ&ファッショングローブ企画・製造
直営工場
フィリピン第一工場、フィリピン第二工場、ベトナム工場
協力工場
ベトナム工場、インドネシア工場、中国工場
資本金
9000万円
地図
確認日
2018.01.04

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