近年急激に変化する“雨の降り方”
大切なものを守るために、どう備える?

ビジネス香川編集室

Special

2026.05.21

平成16年、台風16号による高松市内の高潮浸水状況(写真提供:香川県)

平成16年、台風16号による高松市内の高潮浸水状況(写真提供:香川県)

地域住民が主体となって水による被害を防ぐ「水防」という考え方

「雨の降り方が変わってきた」と言われる近年、全国各地で毎年のように豪雨による災害が起きている。比較的雨が少ない香川県でも、2024年8月末に東かがわ市に県内で初めて線状降水帯が発生し、道路の冠水や家屋の浸水などの被害が出た。さらに遡れば、平成16年には台風15号、16号、23号の影響で河川の氾濫や土石流、高潮が発生。人的被害も出て、多くの家屋が浸水被害にあった。

こうした水害が発生した際に適切な避難行動をとったり、平時から水害の発生を警戒・予防したりすることで人命や財産への被害を軽減する活動全般を「水防」という。各地域には水防団という組織があり、その多くは消防団と兼務していて、地域住民の生命と財産を守るための活動に取り組んでいる。
消防団による土のう積工法の訓練の様子

消防団による土のう積工法の訓練の様子

一人ひとりが普段から水防の意識を持つ

災害に備えて活用したいのが、各市町が出しているハザードマップ。このハザードマップを作成する基準になっている洪水浸水想定区域図や土砂災害警戒区域等図が、2026年3月までに更新された。「洪水浸水については、より小規模な河川も対象となったことで浸水想定区域が広がりました。土砂災害についても、高精度な地形図や最新の測量技術を用いて調査を行った結果、“土砂災害が発生するおそれのある箇所”が新たに3800ヵ所抽出されました」と香川県土木部河川砂防課の森親哉さん。これらの情報は香川県の防災情報ポータルサイト「かがわ防災Webポータル」で見られるほか、国管理河川の土器川については四国地方整備局の公式サイトから洪水浸水想定区域図を確認できるようになっている。森さんは「これまでのハザードマップを見て安心していた方も、今一度最新の情報を確認してほしい」と話す。

また、こうしたマップの活用だけでなく、普段から自分の住む地域をよく見ておくことが大切だと話すのは、香川県防災士会の長谷川修一会長だ。「洪水浸水想定区域図は、10~200年に一度、あるいは1000年に一度程度の大雨の際に河川から水があふれることによる浸水の想定図。でも実際の大雨では、大きな河川からあふれる前に小さな水路や側溝の排水能力を超えてあふれた水が低い土地に溜まって浸水や冠水が起こります。普段から大雨の際には自分の周囲をよく見て、どこに水が溜まりやすくなっているか、どの道を通れば安全に避難できるかをイメージしておくことが大切」だと注意を促す。

地域の水防を支える消防団、課題は担い手不足

気象庁が出す大雨・洪水警報を受けて県に災害対策本部が設置され、河川の水位の状況などが随時県から各市町へ共有されて、市町が住民に対して避難を呼びかける。こうした行政の動きとあわせて各地域で現場の状況に即した活動をするのが消防団だ。丸亀市消防団の小阪正裕団長は、「ここ最近は雨の降り方も変わり、また水田が少なくなったこともあって、大雨が降ると土器川の支流の細い川や用水がすぐにあふれてしまう。年によっては火事より水防で出動することの方が多いこともある」と言う。そして、若い世代の入団者が少ないことや、平日の昼間に警報が出たときに出動できる人数が限られていることも課題だとしたうえで「確かに消防団に入ると訓練などによる時間の拘束もあるが、団員同士や地域間の連携が災害時の情報伝達をスムーズにし、適切な避難行動を促すことにつながる。消防団の活動を通して地域とのつながりも深められる。ぜひ若い人たちに消防団に加わってほしい」と話す。
成16年、台風15号による観音寺市内の土石流発生後の様子(写真提供:香川県)

成16年、台風15号による観音寺市内の土石流発生後の様子(写真提供:香川県)

新たな防災気象情報の運用がスタート

今年5月下旬から、警報や注意報の名称に「レベル」が付記されるようになる。例えばこれまでの大雨警報は「レベル3大雨警報」という名称になり、3から5までの警戒レベルに合わせてどんな避難行動をとればよいかがわかりやすくなった。この新たな防災気象情報は気象庁の公式サイトから確認できるので、本格的な大雨シーズンの前に確認しておいてほしい。災害級の大雨が増えるなか、ハザードマップや警報の名称など災害に関する情報も新しいものに更新されている。災害時に大切なものを守るために、最新の情報と自分が住んでいる地域の特性を知っておくことが、一人ひとりにできる水防の第一歩と言えるだろう。

WSワークショップ


●自分の住んでいる地域のハザードマップを見たことはありますか。

●災害級の大雨の際にとるべき行動について、家族や友人と話し合ってみましょう。


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