
「みとよ探求部」フィールドワークの様子
このままだと部活動が成り立たない
国は生徒たちが継続的にスポーツ・文化芸術活動を続けられるよう、公立中高の休日の部活動を地域や民間団体に委託する、委託先は総合型地域スポーツクラブ、体育協会、民間スポーツ事業者など、希望する教員のみ地域移行後の指導にも参加するといった内容をまとめた指針を2020年に示した。21年度から各都道府県のモデル校で実践研究を行い、23年度から3年間を「改革推進期間」として段階的に進めている。
香川県では、21年度に教育委員会内に「部活動改革プロジェクトチーム」を組織。東かがわ市、三豊市などで実践的な研究を進め、23年に「香川県学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」を策定した。
「教員の負担を減らすためでもありますが、大切なのはどういうあり方が生徒たちにとっていいのか考えること」と県保健体育課・増田一仁さん。子どもの人格を育む、仲間との連帯感、自己肯定感を醸成するといった部活動の役割は受け継ぎつつ、現在の課題――例えば競技の専門家でない顧問が指導する、学校内だけの活動で地域や異年齢の人との交流がない、学校部活動だと選択肢が限られる、といったことを改善しながら今まで以上に価値ある活動にしていくのが理想だという。
誰が代わりに指導する?

東かがわクラブ檀紙バレーボール部の活動
現在、中心的に指導するのは該当する部活動顧問も兼ねている各種目のコーディネーター。「顧問=教員が指導する形」は今までと変化がないように思えるが、「活動目的の一つは子どもたちの人格を形成すること。部活動を学校から切り離すのではなく学校と地域、家庭が連携して子どもたちを地域で育てていく仕組みを考えたい」と東かがわクラブ事務局長・久武滋さん。
市教育委員会と3中学校が協力して学校教職員の負担を減らしながらも、部活動に関わる人材を長期的な目線で増やすための仕組みを考えている。まずは、教員を目指す教育学部の大学生を補助指導員として採用。学生が将来、地域指導員や教員として活躍するための研修の場として「東かがわクラブ」を位置づけている。大学生指導員の姿を見た生徒たちも将来、指導者として東かがわ市の子どもたちとかかわる姿をイメージできる。
「私たちは部活動の地域移行を、東かがわ市3つの地域をつなげる“街づくり”の面からも捉えています」。合併前の3町に1つずつある中学校の生徒が、スポーツや文化活動を通して一緒に活動する。その姿を見た保護者や地域の人がつながっていく。ワクワクするまちづくりを実現するための「部活動地域移行」のあり方を模索したいという。
持続可能な活動には「財源」も必要

目指すのは、学校や家庭以外の居場所や選択肢を増やすプラットフォームの構築。様々な運営主体が参加してこれまでにはない部・クラブもつくり、指導者バンクなどを整備。活動費は「放課後クーポン」で補助する構想だ。
財源として、企業版ふるさと納税を活用した企業からの寄附金などをもとに運用、利回りを活動資金に充てる仕組みを設計した。基金の管理、指導者確保やプラットフォームに加盟する団体の審査などは市の外郭団体が担う予定だ。
現在、「みとよ探究部」や「メタバース部」があり、市内の中高生が活動。地元出身で県外に進学した大学生もオンラインを通じたアドバイスなどで関わっている。
現在、みとよ探究部では、学校ではサッカー部だがチームの戦略を探究したい、ヨット部をつくるため地元のマリーナと交渉、など生徒自らテーマを決め地域の人と関わりながらプロジェクトを進める。「自分で目標を決め、そのために何をするか考え実行する、うまくいかなかったらその理由を考える……というみとよ探究部での活動は、従来の部活動での成長過程に通じるものがありますし、学校での探究の授業とも連携できる」と三豊市教育センター長・小玉祥平さん。「放課後改革プロジェクトを通して興味あることが既存の部活動にない子も選択肢が増える、地域に関心が持てる……など、新たな教育的価値を創出したい」と小玉さんはいう。
WSワークショップ
●中学校と高校の合同練習など、自分たちが関われるのはどんなことだと思いますか。
●地域の人たちのこういった動きについて、ありがたい?どう考えますか?
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