11月18日は土木の日
四国には、日本の近代化に貢献した土木技術者がいた
明治から昭和にかけて、土や石、木を使った土木技術からコンクリートや鉄筋などを用いた技術への転換期。近代土木の道を切り拓き、日本の近代化に大きく貢献した四国出身の土木技術者がいた。
崇高なる近代土木の父~廣井 勇(1862-1928)
廣井は、報賞金が渡されそうになると、「その資金で工事を一層完璧にしていただきたい」と拒絶したという。内村鑑三は、廣井の葬儀の中で「清きエンジニア」と称え、「君の工学は君自身を益せずして国家と社会と民衆を永久に益したのであります」との言葉で友を送っている。
廣井が残したのは技術だけではない。その生き方に憧れ、教えを受けた門下生たちは世界各地で活躍、「廣井山脈」と呼ばれている。
橋梁設計のエキスパート~増田 淳(1883-1947)
増田は、一部の専門家の間では知られた技術者だったが、その業績は不明だった。それは官尊民卑の時代に嘱託という立場であったこと、設計資料が彼の死後散逸してしまったことによる。ところが、2002年に土木研究所に設計図等の多くが発見されたのだ。
明らかになったもう一つの特徴が、様々な構造を自在に使い分けたことだ。増田は「橋は架ける場所によって形を変え、風景に溶け込むものでなければならない」という言葉を残している。国内最古、最長、東洋一などと称される橋も多く、そのいくつかは「日本百名橋」にも選ばれ、現在も暮らしの中にある。
日本の国土は、 多くの土木技術者のチカラで作られていく
この新たな転換期の中で、AIによるコンクリート橋の劣化予測や風景と調和する津波防波堤の研究など、次世代の土木技術者は日々、技術を進化させている。土木の現場でもドローン測量やICT建機での無人化施工が進み、若手技術者も参入しやすくなっている。
豊かな国土をつくるために、道なき土木の道を切り拓いた廣井勇、増田淳の思いは、次世代の技術者が受け継いでいる。
WSワークショップ
●廣井はどのようにして過酷な条件下での防波堤建設を完成させたのか?
●廣井に学んだ土木技術者には、どのような功績を残した人物がいたか?
●増田はなぜ橋梁設計を量産できたのか?
●増田が設計し、今も四国内に残る橋は?
●土木技術の進歩は、くらしの未来に何をもたらす?
【取材協力: 一般社団法人 四国クリエイト協会】
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