手形交換は金融機関が手形や小切手などを持ち寄って交換する民間の決済制度で、手形の減少は中小企業の資金調達にも変化をもたらしている。受取手形を手形割引や裏書譲渡に使えず、資金余力に乏しい企業は金融機関への依存度を高めている。だが、激減したとはいえ、今でも手形が中小企業の資金繰りに重要なことは変わらない。
※本調査は、一般社団法人全国銀行協会の全国手形交換高・不渡手形実数・取引停止処分と、でんさいネット請求等取扱高を対象に分析した。「でんさいネット」は全国銀行協会が設立した電子債権記録機関「株式会社全銀電子債権ネットワーク」の通称で、「でんさい」は同社の登録商標。
交換枚数 過去最低を更新
「でんさい額」は前年比3割増
政府は16年12月、下請事業者の保護を目的に「下請代金支払遅延等防止法」の運用基準や「下請中小企業振興法」の振興基準を改正。支払決済の現金化や手形期日の短縮、手形割引料を支払元が負担するなど、これまでになかった下請中小事業者の取引条件改善を盛り込んでいる。それに続き、全国銀行協会も産業界や官庁、金融界などと手形・小切手の完全電子化に向けて協議。18年中にも完全電子化の目標時期を定めるとした。これは未来投資戦略の「オールジャパンでの電子手形・小切手への移行」に対応し、IT化が遅れた中小・零細事業者に配慮し、助成金や税優遇などでのサポートも検討する。
個人決済におけるキャッシュレスや仮想通貨利用などの動向が企業間取引に与える影響にも留意し、国を挙げて推進される電子化移行への動きが中小企業にどう影響するか注視が必要だろう。
東京商工リサーチ 四国地区本部長兼高松支社長 立花 正伸
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