国土交通省は、2015年11月に建設現場の生産性を向上させるための取り組み「i‐Construction」を立ち上げた。建設機械のICT化を進め、作業の効率化と労働環境の改善を図るものだ。
建設業従事者の高齢化と減少は、暮らしに大きな影響を与える。「道路や橋、トンネル、ダムなどのインフラ整備はどんな時代になろうとも必要です。建設業が立ちいかなくなれば、私たちの暮らしの安全・安心も守れない」と話すのは、四国地方整備局四国技術事務所の石田和敏所長だ。
ICTの活用は土木工事で広がりを見せ、i‐Constructionの立ち上げからこれまでに、四国内で41件が着工している。従来は、人が手作業で土地を測量し、データをパソコンに入力。入力データをもとに設計図を描いたり、施工量(切土、盛土)を計算したりする。そして、現場では設計図に合わせて、目印となる杭を立て、工事を行う。
ドローンなどによる測量や3次元設計を行うことで、作業時間が短縮されるだけでなく正確性も向上。ICT建設機械の使用で、土木工事では1日当たりの施工量が1.5倍になるという。
従来の施工方法では技術の習得に5年、10年かかるのは当たり前だと考えられていたが、i‐ConstructionではICT機器やソフトの操作を覚えれば初心者にもできる作業は多い。
石田さんは「徳島県では建設業従事者の平均年齢が50歳代前半のところ、ICT化を積極的に進めたある建設会社は若者の入社が進み、従業員の平均年齢が40歳になったという話を聞きました。ICT化によって、建設業への就職のハードルが下がるとともに、若者にものづくりの面白さを感じてもらえるのではと期待しています」と話す。
今後は、測量から設計、施工、維持管理すべてのプロセスにおいてICTが導入されることにより、さらに生産性が向上していくとみられる。四国地方整備局では、「i-Construction四国相談室」を開設。ICT建設機械の導入や技術に関する相談を受け付けている。
【問い合わせ】四国地方整備局i‐Construction推進本部
https://www.skr.mlit.go.jp/kikaku/iconstruction/index.html
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