しかしである。オリーブゾウムシはオリーブ栽培にとっての大敵である。幼虫は樹木の形成層を食い荒らし、成虫は新梢や若枝の樹皮を食害する。それはオリーブには致命的となる。「小さい時、よくオリーブゾウムシを採った。オリーブを守る会というのがあって、そこに持っていくと1匹10円くれた」とは小豆島出身のH君。
明治41年、アメリカから輸入された苗木が小豆島で試験栽培されて1世紀が過ぎた。近年の健康志向やほんまもん嗜好により、小豆島のオリーブ製品に対する需要が増加し、耕作面積も増え、さらに県内各地にも栽培が広がっている。
現在、県ではオリーブ産業強化プロジェクトを推進し、オリーブ生産を含むオリーブ産業を香川県の一大産業にすべく各種施策を展開している。オリーブの生産拡大や商品品質の向上への支援、オリーブ畜産や漁業の推進、また県民ぐるみで「オリーブの学び」を推進する事業など数多くの事業を総合的に実施する。
一方、香川県ほど生活の中でオリーブを身近に感じる地域はないと思う。オリーブを庭木にしている家は多いし、公園や空港・港湾などの公共施設、カフェや事務所でもよく見かける。街路樹にオリーブというのは独特で、県庁前をはじめ県道5路線、360本余りが街路を飾る。
我が家にも1.5メートルほどの若木がある。今春は2年ぶりに小さな白い花が房状にたくさん咲いた。今、5ミリほどの緑の実がかわいらしい。小豆島では、新漬やオリーブオイルを家庭でつくると聞く。そうだ、今年は我が家でもオリーブオイルを搾ろう。自家製エキストラバージンオイルだ。
小アジアを起源とするオリーブ文化が、ギリシャ神話や旧約聖書の世界を経て、幾多の時空を超え、香川県の県花県木に至った。街を歩けばオリーブの梢がそよぎ、ご近所同士で今年のオリーブの実の出来を自慢する。物語性に満ちたオリーブという樹木が私たちの日常生活の中に息づく。そういう土地柄ってほんといいですよね。
香川県教育委員会 教育長 工代 祐司
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