人とのつながりを大切に

中小企業基盤整備機構 四国本部長 髙山 千佳歳さん

Interview

2016.02.04

忘れられない仕事

これまで仕事をしてきて、良かったと思うことが3つある。1つ目は、中小企業大学校関西校に赴任し、10カ月のカリキュラムで開講していた経営後継者コースを担当したことだ。高山さんが運営を担当した時は、小売業や建設業、倉庫業、葬祭業などあらゆる業種から24人の次期経営者たちが集まった。

受講生は10カ月間、関西校に宿泊し、座学で経営について学ぶほか、先進的企業に出向き実地でも学ぶ。海外研修でドイツとオーストリアの中小企業も訪ねた。「毎日一緒に過ごすので、嫌でも良いところも悪いところも全て知ることになりました」と笑う。

その講座の修了から1年半ほど経った頃、高山さんの東京への帰任が決まった。出発の日、多くの元受講生が集まり見送ってくれた。「これほどうれしいことはなかったですね。彼らとは今も付き合いが続いています。大半が中小企業の立派な社長になっています」

2つ目は、同じく関西校で運輸業向けのセミナーを開催した時に、ヤマト運輸の小倉昌男さんに講師として来てもらえたことだ。「小倉さんは小口配送のシステムを作った方。利益になることでもないのに、私のような一介のサラリーマンの依頼に応じてくれました」。阪神淡路大震災が起きた後のことだった。小倉さんの登壇には、高山さんも受講生も感激した。「会えて良かった」「言葉に力があった」。受講生の感想も熱いものばかりだった。

3つ目は、東日本大震災の後、岩手県大船渡市で商業施設の仮設を支援出来たことだ。「水産加工場や市場、商店街の店舗などを100棟ほど仮設しました。『働く場所が出来た』と喜んでもらえたことは、忘れられません」

好奇心旺盛に

気分転換と健康のため、休日にジョギングをする。東京勤務の時、同僚に誘われて荒川や立川の駅伝大会に出場。北陸に転勤してからも、15人ほどのチームを作り駅伝大会に参加した。今も継続して、当時のメンバーで年に1度は金沢や富山の大会に出場している。「一番の楽しみはゴールした後の反省会です」

今回で単身赴任は3回目。「必要に迫られて始めましたが、料理は結構好きですね」。土曜・日曜日で1週間分の夕食をまとめて作る。「新鮮な魚が多く、スーパーでの買い物も楽しい」

今から挑戦してみたいのは、楽器の演奏と英会話だ。「妻も娘も音楽をやるので、楽器の演奏を覚えたい。大学で英会話サークルに入っていたのでもう一度覚え直して、東京オリンピックでボランティア通訳のようなこともしてみたいですね」

四国のこれからをサポート

四国本部への着任後、多くの中小企業経営者に会い、堅実、誠実という印象を受けた。しかし、人口減少で市場が小さくなってくると、堅実なだけでは現状維持も難しいと言う。「海外へ目を向けて販路を拡大するなど早めの対策が必要です。四国は電子商取引なども向いていると思います。リスクもあるので、一つ一つの課題を丁寧に支援していきたい。遠慮なく中小機構を活用してもらえればありがたい」

髙山 千佳歳 | たかやま ちかとし

略歴
1959年 静岡県生まれ
1984年 明治大学政治経済学部 卒業
     中小企業事業団(現 中小企業基盤整備機構)入団
2006年 中小企業基盤整備機構 北陸本部経営支援課長
2009年 中小企業基盤整備機構 関東本部地域経済活性化推進役
2013年 中小企業基盤整備機構 国際化支援センター国際協力課長
2014年 中小企業基盤整備機構
     近畿本部企画調整部長・販路開拓部長
2015年 中小企業基盤整備機構 四国本部長

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