県産野菜に付加価値 農家も誇れる餃子を作る

フジフーヅ 代表取締役社長 松井 重春さん 専務取締役 谷口 光夫さん

Interview

2012.01.05

家族で囲む食卓に焼きたて熱々の餃子(ぎょうざ)。ニンニクの香りが食欲を誘う。

「ルーちゃんぎょうざ」でおなじみの株式会社フジフーヅは、香川県産の野菜や国産の豚肉を中心に使用。製造過程で入念な検査も行い、安心の品質だ。

代表取締役社長の松井重春さんは、「『地産地消』といわれ始める前から、地元産の野菜を地元で消費しようと取り組んできました。出どころのしっかりした材料が強みです」と語る。

農家の所得向上へ

市場に卸すだけではなく、加工し商品として売れば、野菜に付加価値がつく。「県内農家の所得を上げよう」と設立されたのが、フジフーヅだ。「ルーちゃんぎょうざ」を売り出していた大阪のルーちゃん食品株式会社と合併し、キャベツ畑の広がるさぬき市で誕生した。

1970年の設立以来、おいしく安心して食べられる餃子を提供し続けている。使うのは、産地直送の生キャベツ。半数以上は香川県産のものだ。工場で製造の管理をしている谷口光夫専務取締役は、「生産者の顔が見えることで、多くの利点があります。仕入れた野菜がどうだったか、こちらの意見が反映されやすい。お互いに良いものを作ろうと相乗効果になるようです」と話す。

香川県はニンニクの生産量が全国第2位。県下最大の産地である琴平のニンニクを使用した「こんぴら餃子ガァルちっぷ」は、ニンニクの風味豊かな一口大の餃子。昨年12月から販売を開始した「讃岐餃子」も琴平産ニンニクを使っており、こちらは大粒タイプになっている。自分の作った野菜が材料に使われ、パッケージに写真も載る。野菜農家も「自分の商品」と胸を張れる。

商品は、四国を中心に中国、近畿地方にも出荷。「配送にはコストがかかります。生産から消費まで地元でできるのがベター。県産、国産の材料にこだわると、安定した供給が課題ですね」と松井さん。スーパーマーケットなどへの販売では、高品質と低価格が求められる。ライバルは全国に多数、競争は激しい。

食の安心・安全

設立当時は、競合他社もなく「チルド餃子」であるというだけで、評価された時代。しかし今は違う。谷口さんは「『愛される味』は一つだと思います。野菜、肉、小麦粉、どれも素材の良いところを生かした商品を作りたい。日々研究を重ね、今も答えを探しているところですよ」と言う。家庭で作る餃子とは一線を画するものでなければならない。ものがあふれている時代だからこそ難しい。

食品に求められるのは、材料の信頼性と味、そして製造過程での徹底した管理だ。機械を導入していても最後は人の手によるところが大きい。材料の入荷後は検品を欠かさない。

7年前からHACCP(危害分析重要管理点)を導入し、作業工程で衛生と品質管理をチェック。国際規格である食品安全マネジメントシステム「ISO22000:2005」の認証も取得した。金属検出機とX線異物検出機のダブルチェックで安全管理体制も万全だ。

製造している餃子は130アイテム。大きく分けると2種類になる。「生餃子」は加熱調理をしていないもの。素材の食感、風味は「生」ならではだ。「チルド餃子」は加熱調理した餃子を冷却、冷蔵したもので、家庭で手軽に調理できる。厳格な管理体制のもと工場では、年間2億個の餃子を製造する。

うどんにも自信

県産の小麦粉を使った冷凍や半生のうどん麺も製造。県産小麦「さぬきの夢」を使用したうどんの味や製造技術を競う「讃岐うどん技能グランプリ」で受賞も経験した。

「初めての出品は予選落ちです。現場一丸となって改良を重ね、翌年は受賞できました。麺の弾力にこだわっています」と谷口さん。商品開発に一切の妥協はない。2011年度は冷凍うどん製品の部門で、全国製麺協同組合連合会長賞の栄誉に輝いた。

松井 重春

谷口 光夫

株式会社フジフーヅ

住所
香川県さぬき市長尾西1881
代表電話番号
0879-52-3131
設立
1970年
社員数
130人
事業内容
餃子・焼売・春巻・惣菜類・各種業務用冷凍食品の製造
沿革
1970年 株式会社フジフーヅ 設立
1987年 生餃子 発売開始
1989年 讃岐うどん製造工場稼働、冷凍うどん発売開始
2004年 HACCP取得
2008年 ISO22000:2005認証取得(TQCSI)
2009年 讃岐うどん技能グランプリ
    香川県農政水産部長賞 受賞(半生うどんの部)
2011年/讃岐うどん技能グランプリ
    全国製麺協同組合連合会長賞 受賞(冷凍うどんの部)
地図
確認日
2012.01.05

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