「讃岐の食文化」の素朴な疑問⑩

野菜ソムリエ上級プロ 末原 俊幸

column

2023.01.05

先月紹介いただいた「あん餅雑煮」、我が家で食べるものとは全く違うのですが…

讃岐の食文化の特徴は、香川県の西から東まで、画一的な食文化が浸透していることにあると感じています。ただ、それらの食文化について、エッセンスにぶれはないのですが、レシピは家庭ごとに異なります。

代表的な郷土料理「マンバのけんちゃん」は、「湯がいたマンバ(タカナのこと。西讃では「ヒャッカ」と呼ばれる)を、豆腐製品と炒め煮するしょうゆ風味の料理」なのですが、入る具材は、油揚げ、ニンジン、練物、卵など様々です。また「しっぽくうどん」は、「野菜を煮込んだ出汁をうどんにかけていただく料理」ですが、家庭ごとに味付けが異なるのはもちろんのこと、季節によって煮込む食材、薬味、出汁の温度なども異なります。

今回ご指摘の「あん餅雑煮」についても、一般的には、「ダイコン、金時ニンジンをイリコ出汁で煮込み、白みそで味付けた汁にあん餅を入れ、最後に青のりを振りかける」というレシピで、喫茶店などはこのレシピに基づいて提供されるのですが、家庭で食べるものは材料も作り方も異なります。

いずれの食文化も、料理の名前を聞くとその料理のイメージが思い浮かぶのですが、具体的な材料や作り方を比べてみると、どれ一つとっても同じものがありません。

地域ごとに微妙な気象や土質、水事情の違いにより、生産される食材が変化し、また、家庭ごとの風習や味の好みで、千差万別のバリエーションが生み出され、そして、それらの情報や文化が交わることにより、今日でもじわじわと進化し続けていると感じます。

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

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野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

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