「讃岐の食文化」の素朴な疑問⑤

野菜ソムリエ上級プロ 末原 俊幸

column

2022.08.04

店頭でよくウリを見かけます!

ウリは、万葉集に詠まれているほど、日本で古くから食べられてきました。そのため、それぞれの土地のウリが、風土や食文化に根付きながら独自に進化しており、とても地域性の豊かな野菜です。同じ「青ウリ」と呼ばれるものも、県境をまたぐと全く別の品種が栽培され、市場に出回る際の大きさや荷姿も全く異なります。

一方、ウリは、主に漬物の素材として活用されてきたことから、家庭で漬物をつける機会が減ってきた昨今では、栽培面積も減少し、店頭で見かけることも少なくなり、地域によっては伝統野菜として、細々と栽培されているだけのような品種も存在します。香川県でも「さぬきシロウリ」という品種が栽培されており、漬物品種として京阪神に出荷されていましたが、現在ではその栽培面積はごく僅かとなったとのことです。

このような中、香川県では今でも地場産のウリが市場を経由して量販店等の店頭に並んでいます。店頭では「青ウリ」と呼ばれており、「さぬきシロウリ」と姿形は似通っているものの、これとは異なる品種と言われており、「青ウリ」という名で流通をしています。味が濃く、サクッとした歯ごたえもありますので、手早く作ることができる浅漬けや、キュウリの代用として酢の物にも利用することができます。ウリという野菜が、今でも安定的に供給され、利用されていることは、讃岐の食文化の多様性を表す指標の一つなのかもしれません。

ただし、9月15日頃になると、一斉に店頭から姿を消しますので、食べ逃がさないようにしてください。

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

写真
野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ