緑の牧場から食卓まで。
オリジナルブランドの開発で、安心・安全な食品を提供したい。

サヌキ畜産加工協同組合 ミートピアサヌキ

Interview

2009.10.01

毎日口にする食材は、安全なものであってほしいと願うのは当たり前のことだ。三豊市高瀬町のミートピアサヌキでは、直営牧場で生産したオリジナルポークを販売し、安全とおいしさを兼ね備えた食材として支持を高めている。開発と販売について話を聞いた。

オリジナルブランドで勝負

おいしいものは口コミで広まる。そしてそれが高品質でしかも手頃な値段だったら・・・。三豊市高瀬町の精肉ショップ「ミートピアサヌキ」で扱う豚肉「讃岐BAQ25」も、そんな口コミで広くファンを増やしているブランドポークである。

ではその讃岐BAQ25とはどんな肉なのだろうか?「ヨークシャー種、バークシャー種、そしてデュロック種の3品種を掛け合わせた三元交雑豚です。讃岐BAQ25という名前が示しているように、バークシャー種を25%以上掛け合わせた豚なんですよ」と説明するのは、ミートピアサヌキ店長の
宇田正仁さん(47歳)。

一般に黒豚とよばれるバークシャー種は肉の筋繊維が細かく脂肪がおいしい反面、肥育日数が長く育ちにくいといわれる。それならばと、味の良さはそのままに、肥育日数を少しでも短縮し生産効率を上げたいと考えた末に生まれたのが讃岐BAQ25だ。直営の高瀬町内の緑が丘牧場で育てられるため、肥育環境が把握できるという利点もある。「牧場と連携して作り上げてきた讃岐BAQ25は、ミートピアサヌキのオリジナルブランドです」と宇田さんは自信を見せる。

「肉職人」の想い

ミートピアサヌキは、食肉製品加工製造販売を中心とする本社・サヌキ畜産加工協同組合(三豊市詫間町)のアンテナショップとして1992年にオープン。宇田さんは立ち上げ時から店の経営に携わってきた。「そのころから、普通の町のお肉屋さんにはない商品をいつか作りたいと思っていましたね」。当時は、広い食品売り場を持つ大型スーパーが郊外にどんどん進出し、町の精肉専門店の売り上げが徐々に停滞してきたころだ。宇田さんは「それ以前は専門店でこそ良い肉が買えたが、そのころにはどこの大型店に行っても良品が手に入るようになった。では専門店の存在意義はどこにあるのだろうかと。食肉業界で生きてきた肉職人の意地でしょうかね。品質の良い物は高くて当たり前、それなら良いものを少しでも手に入りやすい値段に近づけて提供したいと考えたのです」

本社のキャッチフレーズは「緑の牧場から食卓まで。おいしさのネットワーク」だ。香川県西部は畜産が盛んな地域でもある。オープン当初から、地元の生産物を統一商品として扱えないかと模索はしてきた。そして6年前、その思いは「讃岐BAQ25」の商品化として実を結ぶ。

品質を高め、ブランド力を挙げる努力

豚肉は牛肉に比べ、毎日の食卓に上がる頻度は高い。おいしくて手頃なら消費者にはうれしい。肉の旨みが感じられるという讃岐BAQ25の生産性をどんどん高めていけば話は簡単だが、そうはいかない。「納得できる豚を育てることが何よりも大切ですから、増産は今のところ考えていません。25%であっても飼育の難しいバークシャー種が入っていますから。肥育日数も普通の豚なら160日から180日のところが、讃岐BAQ25は200日から210日はかかります。気温や湿度などの環境にも敏感に反応する。品質は一定にしたいが、相手は生き物。生産農場の努力は大きいですよね」と宇田さん。「納得できる豚を育てたい。今は集中してこのブランドをもっといいものにしていきたいと思っています」

生産牧場から直接仕入れるからこそ、できることがたくさんある。仕入れ時には絶えず肉を確認し、部位の品質をチェックし、牧場に細かいオーダーを出す。牧場には頻繁に足を運び、肥育の状態を確認する。また、商品を購入した消費者の声を生産者に返すこともできる。「常連のお客様になると、肉の質について詳しくコメントしてくださいますね。時には厳しいときもありますが、それはとてもありがたいこと。例えば肉が硬かったという感想をいただくとする。その声を牧場に返すことができる。この声は生産牧場の課題にもなります」。消費者の声を吸い上げて、生産者にフィードバックさせる。アンテナショップとしての役割である。「『讃岐BAQ25』もまだ完成はされていません。改良していく余地はあると思っています」

オリジナルポーク「讃岐BAQ25」に続き、オリジナルの讃岐牛の商品化も進んでいる。宇田さんは県内の生産牧場に足を運び、牧場主の考えや仕事の内容、生産した肉の味などに良い手応えを感じているという。「いい肉かどうかは、出荷されるまでどんな育ち方をしてきたかで決まります。生産牧場との信頼関係も大切ですね」

地元のお客さま プラス、インターネット販売も

開店当時からの地元消費者に加え、最近では高松方面や愛媛県東部から足を運ぶ客も増えてきた。店の売り上げに比べるとまだ少ないというが、インターネットでの注文では中部から関東地域にかけての取り引きが多くなっている。「今は男女に関係なく食べ物への関心がとても高いですね。安心して選べるもの、そしておいしいものが求められている。当店では『讃岐BAQ25』以外にも扱う商品には自信があります。ぜひ食べていただきたいですね」

7月には店を一部リニューアルし、惣菜販売も今まで以上に力を入れている。素材に「讃岐BAQ25」を使った商品も並ぶ。オリジナルブランドを実際に食べてみて、知ってほしいとの願いからだ。

「自分のなかで譲れないもの、変わらないものがあります。お客様に対して、いかに安心で安全、そしておいしい商品をリーズナブルに提供していけるかということ。生産する側、提供する側の姿勢をどうアピールするかはこれからの課題でもありますね」と宇田さん。「肉職人」が牽引する専門店ミートピアサヌキ、これからも注目したい。

サヌキ畜産フーズ株式会社

住所
香川県三豊市詫間町詫間2112番地140
代表電話番号
0875-83-6262
設立
1980年
社員数
165人
事業内容
冷凍トンカツ等の食肉製品加工、製造販売他
沿革
1980年10月 中小企業等協同組合として認可、組合員5企業で設立。出資金7500万円
1981年 5月 創業
1982年 6月 新たに3組合員が加入。
増資後、出資金9000万円に
1992年 4月 ミートピアサヌキがオープン
2000年11月 観音寺工場落成
2007年 7月 観音寺工場を惣菜・介護食製造工場にリニューアル
2008年 3月 本社工場ISO22000(HACCPシステム含)対応工場へリニューアル
地図
URL
http://www.meatpia-sanuki.com/
確認日
2018.10.18

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