“本物”を実感するために
掲げる事業ビジョンは“笑顔創造業”。「本物のおいしさで、人々の笑顔を創造する」という意味を込め、その実現のために必要なのが「日本一」だと増田さんは言い切る。
素材や調理法にコストをかければ、おいしくできて当たり前。それを高額で売るのは目指す姿ではない。「肉を柔らかく食べやすく、お客さんのニーズに合わせて加工し、できるだけ安く提供する。それが本物のおいしさだと思っています」
仕入れる豚肉はヨーロッパやメキシコなど、自ら産地まで出向いて品定めする。「直接やり取りする方が、肉の太さや脂のつき具合など、こちらの要望が伝わりやすい。生産者とうまくやっていけるかどうかも重要な判断基準になる。商社を介さず直輸入することでコストも抑えら、貿易の仕組みも学べました」
サヌキ畜産フーズがつくるトンカツは9割以上は、製造を発注した相手先のブランド名で販売されるOEM製造で、スーパーやレストラン、弁当店などに卸される。「食べている人は『サヌキ畜産フーズのトンカツ』とは分からない。その状況の中で、我が社のトンカツが本物だと実感するには、『日本で一番多く食べられているトンカツの工場にならないといけない』と思った。『日本一』は従業員にとってもやりがいや誇りに繋がります」
本物のトンカツで、一人でも多くの人を笑顔にしたい。亡き父を思いながら、増田さんは「日本一」への決意を語る。
衝撃受けた父のトンカツ
父の代で養豚業に加え、食肉加工業に進出、トンカツ製造に乗り出した。「ある日、父が『新しいのができたんや』とうれしそうにトンカツを持ち帰った。とても美味しくて『これをうちがつくっているのか』と衝撃を受けたことを覚えています」
大学を卒業後、食品メーカーで3年ほど修行をしたのち、1998年、26歳の時に家業に入った。高瀬町で祖父の養豚業を継いだ4つ下の弟・孝さんと協力し、オリジナルブランド「讃玄豚」を使った新商品を開発するなど、兄弟で支え合いながら、祖父と父が遺した畜産の道を歩む。
「食」に携わる責任
「社内の整然とした見た目以上に、従業員の意識が大きく変わりました。様々な場面で責任感が芽生え、大幅に無駄も減りました」。さらに相乗効果もあったという。「『これだけきちんとした会社なら間違いはないだろう』と、取引先との信頼関係にも繋がっていると思います」。業績が上向いている要因の一つかもしれないと増田さんは話す。
社長就任10年目にあたる2020年に創業40年を迎える。「トンカツに続く第2の柱に位置付ける総菜事業を強化したいし、OEMだけでなくPB(プライベート・ブランド)商品にも挑戦していきたい」と意気込む。
過去には、仕事がうまくいかなかったり、自信を失うこともあった。そんな時は、「豚舎にエサをやりにいっていました。おいしそうに食べている豚を見ると心が癒やされました」
同時に感じるのは「食」に携わる責任だという。「豚はどのように生まれ育ち、どう出荷されていくのか。その生態や命の尊さを知らないと、本当の日本一にはなれないと思う。『ただトンカツをつくっているだけじゃない』と従業員にも伝えながら、おいしいトンカツを追求していきたいと思っています」
篠原正樹
増田 浩 | ますだ ひろし
- 1972年 三豊市高瀬町生まれ
1991年 高瀬高校 卒業
1995年 松山大学経済学部 卒業
日本食研株式会社 入社
1998年 現サヌキ畜産フーズ 入社
2007年 専務取締役
2010年 代表取締役
サヌキ畜産フーズ株式会社
- 住所
- 香川県三豊市詫間町詫間2112番地140
- 代表電話番号
- 0875-83-6262
- 設立
- 1980年
- 社員数
- 165人
- 事業内容
- 冷凍トンカツ等の食肉製品加工、製造販売他
- 沿革
- 1980年10月 中小企業等協同組合として認可、組合員5企業で設立。出資金7500万円
1981年 5月 創業
1982年 6月 新たに3組合員が加入。
増資後、出資金9000万円に
1992年 4月 ミートピアサヌキがオープン
2000年11月 観音寺工場落成
2007年 7月 観音寺工場を惣菜・介護食製造工場にリニューアル
2008年 3月 本社工場ISO22000(HACCPシステム含)対応工場へリニューアル - 地図
- URL
- http://www.meatpia-sanuki.com/
- 確認日
- 2018.10.18
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