世界一難しいといわれる楽器ホルンは実に魅力的。1人もいいけれど、仲間と一緒に吹く
楽しみは格別です

四国旅客鉄道 高松駅長 都築 高司さん

Interview

2009.10.01

歌をうたう、楽器を奏でる、曲を聴く…。音楽には様々な楽しみ方がある。四国旅客鉄道の高松駅長・都築高司さんの音楽の楽しみの中には、楽器・ホルンの演奏がある。「時々、無性に吹きたくなるときがあるんですよ。酔っぱらったときが多いですが(笑)」

中学時代に出合った生涯の楽器。それは身長で決められた?

都築さんが金管楽器のホルンと出合ったのは中学時代。ブラスバンド部に入部し、顧問の先生から担当楽器を割り当てられたことに始まる。「トランペットがかっこいいなあとは思っていましたが、担当の先生から割り当てられたのはホルンでした。当時は体が小さくて、身長順に並ぶと低い方から2番目。肺活量などを考慮されてのことでしょうけど」と都築さん。音楽は好きだが、歌はだめだと思って選び入部したブラスバンド部。そこで担当するホルンと長いつきあいをすることになるとは、当時は思いもよらなかったという。

魅力あふれるホルン。実は世界一難しいといわれる金管楽器

ホルンを吹き始めて感じたのは、トランペットに負けないくらい魅力的な楽器だということ。弱音では柔らかい音色がするし、強く吹けば勇壮で力強く太い音が響く。低音から高音まで出せる音の範囲も広い。熱心な練習の成果もあり、高校生になるころには、腕も相当に上がっていた。だがその自信は、高校2年の時の新入生歓迎コンサートでのソロで失敗し、あえなくしぼんでしまう。「今から思えば単なる井の中の蛙だったんですね」

ホルンの魅力は、楽器特有の「難しさ」にもつながる。形からは想像もつかないが、大型の金管楽器チューバなどと同じくらいの管の長さがあるために、唄口から吹きこむ息の加減や音程のコントロールが難しい。にもかかわらず、曲の思わぬ部分でやってくるソロが意外に多い。「楽器の構造をわかっている作曲家ばかりではないので、大変なんですよ」

工学部を選び進学した大学には吹奏楽団はなく、都築さんは市民オーケストラで活動、入団時に楽器も購入した。「オケには上手な人が多くて、僕は4番パートを吹いていました」

大学卒業後は国鉄に入社、団体での演奏からしばらく遠ざかるが、再び楽団で演奏する機会がやってくる。1988年に開かれた瀬戸大橋架橋記念博覧会、現在も記念公園に残るマリンドームでは、期間中県内の吹奏楽団のステージが毎週のように行われていた。これに出演するために広く部員を募ったJR四国吹奏楽部に都築さんも参加、久々に団体での演奏を経験した。

一人で吹くのもいいけれど、仲間とならもっと楽しいはず。

楽団に所属していない時期も含め、都築さんはこれまで楽器を吹くことはやめなかった。大きな音は迷惑になるからと裏山で音を出したり、押し入れの中にベビー布団を防音壁代わりにして吹いたりしたこともあった。消音ミュートを買ってみたりもした。「でも本当は思い切り音を出すのが楽しい。だから思い切り吹きたいときは、10分くらい吹いてぱたっとやめたり(笑)。それに、ホルンは1人で吹くよりも、2人、3人と、仲間で吹くほうがやっぱり楽しいですよね」

現在、職場のバンドJR四国吹奏楽部は部員数の関係で残念ながら活動は休止中という。都築さんは今後は、小編成でのアンサンブル演奏ができればいいなあと考えている。「ホルンはこれからもずっと吹いていきたいですからね。そしてホルンはもちろん、他の楽器でも一緒に吹く仲間や機会が増えることを楽しみにしたいですね」

都築 高司 | つづき たかし

略歴
1953年10月 善通寺市生まれ
1972年 3月 県立丸亀高校卒業
1977年 3月 愛媛大学工学部機械工学科卒業
1977年 4月 国鉄入社
      車両の検査修繕や機関助士、運転士を数年間、
      後、人事課へ。
      経営企画室、営業部など勤務
1998年 3月 徳島駅長
2000年 4月 営業部販売課長
2008年 6月 高松駅長
写真
都築 高司 | つづき たかし

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