二度目の四国。水の安全・安心に尽力

水資源機構 吉野川本部長 益山高幸さん

Interview

2020.09.17

香川に初めて来たのは、国土交通省に出向していたときの出張で。JR高松駅は始発・終着点であるため、すべてのレールが行き止まりになっている「頭端式」ホームが見られる。「見たことがない向きで電車が止まっていることに、びっくりしました」

その後、2015年から2年間、徳島県三好市にある池田総合管理所の所長を務めた。香川に来ることが多く、セルフうどん店での注文方法にも驚いた。「どうしていいか分からずに戸惑ってると、お店の人が優しく教えくださったことが印象的です。今でも注文は少し緊張しますが」

今年4月、吉野川本部長に着任。コロナ禍にあっても、水の管理・供給に支障が出ないよう尽力する。管内の各事務所では、執務室を分けたりデスクの間にシートを設置したりなど感染防止策をとっている。「ライフラインの一翼を担っているため、何があっても水の供給を止めるわけにはいきません」

完成後に本当の事業が始まる

吉野川本部が入居するビルに掲示している「早明浦ダム貯水状況」

吉野川本部が入居するビルに掲示している「早明浦ダム貯水状況」

北海道生まれ、北海道育ちで、大学卒業まで小樽で暮らした。北海道大学では土木を専攻。卒業後、当時の水資源開発公団に入った。これまで関東、中部、九州などで施設の建設現場を中心に働いてきた。

「水路の付け替えを担当したことが思い出深いですね。地元の人にとても喜ばれ、完成後の通水式でお礼を言われたんです」。自分の仕事が人の役に立っていると実感できた時だった。「インフラ整備は、人を幸せにすることができるんだと感じました。作って終わりではなく、施設が完成して、役に立ってからが事業の本当の始まりだと思うようになりました」

現場では目の前の仕事に没頭していたが、管理職になると自分の仕事だけではなく全体を見る必要がある。初めて管理職になったとき、上司にこう言われた。「自分でやってできるのは当たり前。これからは人にやってもらうことが仕事になる」

聞くと「楽だな」と思ったが、実際やってみるとそうはいかない。「仕事をうまく配分してマネジメントしなさいと、上司は伝えたかったんでしょうね。部下にどう仕事を頼むか、言い方って大切です。普段からの何気ない会話を心掛けています」

水湛えるダムが好き

9月1日、地震防災訓練で指揮を執る

9月1日、地震防災訓練で指揮を執る

吉野川本部の管内では、治水機能の向上を目的とした早明浦ダム再生事業が進む。「水を湛えるダムを見ると、やっぱりいいなと思いますね。施設の改修や適切な管理で、さらなる水の安全・安心利用を促進したい。水資源機構の役割も知ってもらえたら」

鎌田 佳子

益山 高幸|ますやま たかゆき

略歴
1962年 北海道生まれ
1987年 北海道大学 卒業
     水資源開発公団(現・独立行政法人水資源機構)入社
2000年 思川開発建設所調査設計第二課長
2006年 中部支社 施設管理課参事役
2007年 思川開発建設所調査役
2012年 本社 管理部管理企画課参事役
2013年 本社 技術管理室技術調査課長
2015年 池田総合管理所長
2017年 本社 ダム事業部次長
2019年 本社 危機管理監
2020年 関西吉野川支社 吉野川本部長

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ