地域活性化を支える橋渡し役に

本州四国連絡高速道路株式会社 坂出管理センター所長 後藤 敦さん

Interview

2022.11.03

パイロットを夢見た幼少期を経て、憧れはやがて空から海へ。1984年、「海に関わる仕事がしたい」と、架橋事業を手掛ける本州四国連絡橋公団(当時)に入社。今年7月に管理センター所長として赴任した坂出は、かつて瀬戸大橋の建設に携わった思い出の地でもある。

高速道路の建設・管理を中心に広げた業務経験

最初の赴任地は、因島大橋の建設が終わったばかりの尾道。しまなみ海道の橋梁計画と設計を担当した。1986年、瀬戸大橋建設中の坂出工事事務所(当時)に移り、88年4月の瀬戸大橋供用開始を間近に見る。供用開始と同時に開設された坂出管理事務所で、全線開通に湧く人々を見守りつつ、一方では鉄道騒音問題などの対処に奔走した。

89年以降は、出向を含めて業務の幅が一気に広がった。本社企画部では海外企業参入や海外客の窓口となり、各国政府関係者や技術調査団の対応に当たる。94~99年は、建設省に出向して紀淡連絡道路構想の事業化を、本社設計部で海峡横断道路プロジェクトの実現可能性を担当した。2001年の㈶大阪湾ベイエリア開発推進機構出向では、インフラ整備を通じた地域活性化策の検討を、05年の㈶海洋架橋・橋梁調査会出向では、国が管理する橋梁の点検・診断事業を担当。3回の出向を通して、「発注者側」「受注者側」双方の視点でさまざまな事業を見つめる機会を得た。その後、本社保全部や岡山管理センターなどでの業務を通じて、インフラとしての道路の管理を経験。それまでに携わった仕事を振り返って「結果的に橋の建設や管理の現場経験は少ないですが、出向を含めて、異動に関しては自分から望んで新しい仕事が経験できる所を選んできました。そうやって新しい場所で新しい仕事に携わることが面白かったのだと思います。」

基本的に2~3年スパンでの異動が続くが、「せっかく関わるのだから、橋で繋がった地域の方々が望むことに応えたい」と地域貢献を重視。今治管理センター副所長時代は、地元自治体やメディアと連携してしまなみ海道の情報を発信するなど、地域との深いつながりを感じた2年だったと振り返る。

橋が地域の発展と安心を守る

オフの楽しみは地域の老舗パン屋めぐり

オフの楽しみは地域の老舗パン屋めぐり

所長を務める坂出管理センターは、瀬戸大橋がある児島~坂出間を管理している。瀬戸内地域にとって、本州と四国を繋ぐ3つのルートの橋はなくてはならないインフラだ。「365日24時間、いつでも安全で安心して利用できることが使命です。本州四国間の交通や人・物の交流を支えることが、地域活性化や災害支援にもつながるはず」。世界に誇る長大橋技術を持つ企業として、徹底したメンテナンスで「未来永劫使える橋」を目指している。

コロナ禍で観光ニーズが低迷し観光バスの利用はまだ少ないものの、物流網としての利用は安定しており、今後は大阪万博などをきっかけに四国への人流回復も視野に入れている。「瀬戸内全体を橋でつないでいる私たちだからこそ、地域のためにできることがあるはず。地域の皆さんと一緒にポテンシャルの高い香川の魅力をPRして、観光・移住の『橋渡し』になれたらうれしいですね」

戸塚 愛野

後藤 敦 | ごとう あつし

略歴
1964年 愛知県生まれ
1984年 本州四国連絡橋公団(当時)入社
1994年 建設省近畿地方建設局出向
2001年 (財)大阪湾ベイエリア開発推進機構出向
2005年 (財)海洋架橋・橋梁調査会出向
2010年 本社企画部
2013年 本社保全部
2014年 岡山管理センター
2018年 今治管理センター副所長
2020年 本社保全部
2022年 坂出管理センター所長

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