「人」を育ててインフラを守る

西日本高速道路サービス四国 代表取締役社長 松本 健治さん

Interview

2023.08.17

大学時代、友人と自転車で九州や四国を回っていた時、高知で建設中の高速道路現場を見かけた。「旧来の一般道を自転車で走っていましたから、『高速道路はまっすぐ目的地に向かえて便利だな』としみじみ実感したんです。それが日本道路公団(当時)を知るきっかけでした」。入社以来30年以上全国各地を歴任し、現在キャリア3度目の四国赴任中だ。

用地交渉から管理まで 幅広い業務を経験

1983年に日本道路公団に入社し、東京で2年研修を受けてから現場に出ることが多かった当時の大卒社員としては珍しく、1年で富山の現場にデビュー。高速道路の建設が年間200キロペースで進んでいた頃で、上信越自動車道や東京湾アクアライン、松江自動車道をはじめ、数々の用地取得に携わった。用地交渉について先輩には「気持ちを買え」と教えられ、土地を大切にする地権者の思いを踏まえた丁寧なコミュニケーションで地権者との信頼関係を育んだ。

群馬の上信越自動車道の用地取得では、若くして「番頭さん」と呼ばれる用地課の係長に抜擢。「通常はベテランが務める立場ですから、もちろんわからないことばかりで、先輩方には随分手を差し伸べてもらって…。社内外問わず、一人では何もできない、信頼がすべてだと痛感しました」と振り返る。

最初の四国赴任中に同公団が民営化で西日本高速道路となり、九州・久留米で管理事務所長に。高速道路の管理業務は、周辺の土地借用、用地取得に伴う相続関連対応、道路のメンテナンス、工事現場で文化財が出土した時の各県教育委員会との手続き、供用時の消防対応など、ほぼ土木工事以外全般を網羅する。「建設する側ではなく『守る』側は初めてのことで、交通量の多い九州の高速道路の補修工事など難易度の高い交渉も経験したことが、今の四国エリアの管理にも生きています」

マルチな人材を育てる!

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広報CS推進部長が西日本高速道路で最後の業務となり、2016年から最初期のNEXCO西日本コミュニケーションズの社長として、高速道路の掲示物制作や工事広報、「ハイウェイテクノフェア」企画デザインなどのノウハウを確立。西日本高速道路パトロール中国の社長を経て、20年から四国の高速道路のサービス・パトロール業務を一手に担う西日本高速道路サービス四国の社長を務めている。

「高速道路は24時間365日の安全・安心なサービスを支える『人』で成り立っています。サービス業務もパトロール業務も、積極的なジョブローテーションでマルチプレイヤーを育てたい。四国の4自動車道だけでもルートによって特徴があり、必要なノウハウが異なる中で、『いつでもどこでも誰でも』業務をこなせる体制の確立は不可欠です」と強調。「コロナ禍のような不測の事態にも強い体制をつくって、『インフラを止めない』という我々の使命を果たしたい」と語った。

戸塚 愛野

松本 健治 | まつもと けんじ

略歴
1960年 福岡県生まれ
1983年 福岡大学法学部卒業
    日本道路公団入社
2005年 西日本高速道路株式会社
    経営企画部 情報システム室長
2011年 保全サービス事業部 サービス担当部長
2015年 広報CS推進部 広報CS推進部長
2016年 NEXCO西日本コミュニケーションズ株式会社 代表取締役社長
2018年 西日本高速道路パトロール中国株式会社 代表取締役社長
2020年 西日本高速道路サービス四国株式会社 代表取締役社長

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