技術を高めて橋や水門や陸橋の下請けへ。そしてクレーンメーカーへ。さらに大企業と競いながら機械式駐車装置メーカーへ。
縦に横に縦横無尽に車を収納する「地下多段昇降横行縦行方式」で中規模マンションの地下駐車装置市場を独占する会社になった。
技術とアイデアで会社を育てた創業社長(現相談役)の横井 昇さんから、2代目社長を引継いだ横井 実さんは、機械メーカーにとらわれない発想で新しい事業を開拓する。
下請けからメーカーに
「製造許可を1963年に取って、オーダーメードのクレーンを作りました」。大手メーカーは規格品しか作らない。それに対抗するためだ。注文は来たがその分競争も激しかった。
そのころ石川島播磨工業がタワー式駐車装置の一号機を開発した。下請けを契機に、1972年 クレーン技術を応用したタワー式駐車装置を開発、立体駐車場建設の認定を取得した。先行大手も試行錯誤の時期だった。「タワーの外で車を丸板に載せて回していたのを、タワーの中で回して車が前から入って前から出る仕組みを作りました」。
当時は工業所有権の知識に疎く、業界初の画期的なターンテーブル内蔵機能の特許権を取得しなかった。この教訓が、駐車場関連の特許や工業所有権を100件以上開発する、横井鋼業の「特許政策」の始まりだ。
お客さんの期待が技術力に
リスクがあると大手は引き受けない。「90%ぐらいの出来上がりでも、『よしわかった。後は一緒にやろう』…1億円も掛けてロクでもない物だったら困る。お客さんも必死です。”協力“してくれます」。期待されるからチャレンジする。叱って、褒めてくれるお客さんが技術を育ててくれた。だから、お客さんとの距離の近さが大切なのだ。
40年の泣き笑いは真似されない
※(機械式駐車装置)
車両を載せた台を移動させる駐車装置。タワー式、2段・多段式、地下式などがある。
※(コイン式駐車装置)
24時間無人の時間貸し駐車装置。駐車するとセンサーが感知し、地面に埋め込まれたフラップ板が上がって車両を動かせない。精算機で駐車スペースの番号を入力し料金を支払うとフラップ板が下がる。
10億円市場は大手がいない
「車を台に乗せて、縦、横、前後、上下に縦横無尽に動く『地下多段昇降横行縦行方式G4シリーズ』を開発しました。この方式の、100戸から50戸程度のマンション用駐車装置はうちの独占です。東京ミッドタウンにも納入しました」。
年間10億円ほどの市場に大手は手を出さないし、ライバルもいない。得意なノウハウを得意な市場で展開する。そしてお客さんのニーズにとことん応える。これからも横井の技術を育ててくれるのは、叱り褒めてくれるお客さんだ。
※(東京ミッドタウン)
東京都港区赤坂9丁目の旧防衛庁跡地再開発で誕生した、複合施設及びその地域一帯。
コイン式駐車場から運転代行事業「Nice代行」が生まれた
運転代行事業は社員の提案だった。「会社の要の『車関連事業』の展開でしたし、コイン式パーキングの看板『100円玉のNice Parking』がお馴染みになったので踏み切りました」。人件費に50%程度のコストは掛かるが固定費は少ない。去年の11月に2台でスタートして半年で7台まで増やした。
メカニックの専門家だったらおそらくこんな新規事業は出来なかった。
横井 実
横井鋼業株式会社
- 住所
- 香川県高松市一宮町
- 代表電話番号
- 087-885-0111
- 社員数
- 90人
- 事業内容
- 立体駐車場装置の製造・販売・メンテナンス業務、住宅用エクステリアの製造・販売、コイン式駐車場の経営、代行運転事業、カフェ事業
- 資本金
- 3024万円
- 地図
- 確認日
- 2008.08.07
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