土や自然に親しんだ 少年時代の経験がベースに
バラづくりでも、仕事の場面でも

大林組 四国支店長 井上 雄次さん

Interview

2008.08.07

井上雄次さんがバラの栽培を始めたのは10年あまり前。大阪府郊外に自宅を求めたのがきっかけとなった。丘陵地という地形を残して開発した地域には、所々に自然林や池が残る。購入することになる家を初めて見たときに「ここは日本の庭は似合わないな。バラがよく似合うな」と感じたのだという。

美しいバラ。しかし栽培は難しく・・・

井上さんは和歌山県生まれ。母の生家は古くから続く農家で、祖父母はミカンを始めとする果樹や米を作っていた。幼い頃から兄と一緒に畑を手伝ったり、田畑で遊んだりした経験がある井上さんにとって、植物への関心は決して特別なことではない。

しかし、「簡単にできるやろ」と始めたバラ栽培は、初心者にはなかなか大変なものだった。専門書を買ってきたり、バラ園へ行き世話の仕方を見たりなどして少しずつ知識を増やした。「バラ園の人に聞いても、丁寧にはこたえてくれないんですよ。やっぱり自分で努力しないと…」。家の正面に位置する庭には今、四季咲きやつる性など20本ほどのバラが大きく育ち、毎年5月の連休ごろには美しい花を咲かせるようになっている。

一般にバラ栽培は難しいといわれる。種類が多い上に、豊かな土壌造りは絶対、そのうえ成長の具合や季節によって、剪定や追肥、病害虫の駆除など、するべき世話がたくさんあるのだ。「ちょこちょこと手入れをしないといかんのですよ。ちょっとした消毒や、花が咲いた後の花ガラを取り除くことなど、丁寧にすればするほど、バラはきれいな花を咲かせてくれるんですよ」。2年前から東京、高松と続けて単身赴任となってしまった今は、こまめな手入れができないことが悩みでもある。

土壌にあったものを、植えているか。建てているか。

作物を作る、植物を育てるという行為は、自身の仕事である建設工事や地域開発などと無関係ではないと井上さんは考えている。「土地の上に建物を造ることは、土地に木や植物を植えることと基本は同じだと思います。土壌に合わないものを植えても木は育たない。環境にかなった計画をし、建設することの重要さを感じます。全貌を見渡すことの大切さ。間違った木を間違った畑に植えてはならない。的確な判断や対応はできているか。土地に根付いたものだけが大きく育つわけですからね」。
バラづくりにもそれはもちろん通じる。「まだまだ趣味の入り口に立ったばかり。もっと世界を広げたいですね」。

井上 雄次 | いのうえ ゆうじ

略歴
1949年9月15日和歌山県生まれ
1973年3月 京都大学法学部卒業
1973年4月 大林組入社
2001年 本店営業部 部長
2003年 取締役 本店統括部長
2005年 執行役員
2006年 東京本社東京建築事業部 副事業部長
2007年 四国支店長
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井上 雄次 | いのうえ ゆうじ

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