「好奇心」は成功を もたらす魔法だ

みどり財産コンサルタンツ 社長 竹本 正憲さん

Interview

2013.07.18

銀行員時代、支店から本部の経営相談所に配転されたのがきっかけだった。金融商品を研究したのが評価され、新しい職務を与えられた。貯蓄や投資の相談に応じる国家資格、1級ファイナンシャルプランナーに中四国で初めて合格、税理士資格も取って、銀行のFP業務(資産運用相談)の草分けになった。

税務や会計業界の主要顧客である中小企業マーケットは縮小しているが、相続や事業承継、節税対策のニーズは拡大している。

(株)みどり財産コンサルタンツ社長の竹本正憲さん(66)は、銀行を定年退職後、会計事務所の子会社を任され、ひとつの場所でさまざまなサービスを提供するワンストップサービスの手法で、西日本で最大級の「相続・事業承継対策」専門会社に育てあげた。

1級ファイナンシャルプランナー
略称FP。現在の1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

金融商品の研究でスペシャリストに

慶大経済学部で、経済予測と証券研究を専攻した。日本経済新聞に掲載された金融の新商品を調べることに興味があった。

百十四銀行に入社して9年目、配属された部署では経営や税務の相談に応じる専門知識を要求されたが、実務に追われることはなかった。学生時代から興味があった金融商品を研究して、小論文「金融競合新商品シリーズ」を毎月、社内報で執筆した。

それが認められて、本部の営業企画部に。銀行の金融サービスを開発する職務を与えられた。人材を養成する経営方針のおかげで、中四国で第1号の1級FPの合格者になった。日曜日は税理士養成学校に通い、10年以上かけて資格も取った。

顧客の倒産を防ぐ

FP業務を始めた営業推進本部に変わった。全国にまたがる顧客企業へ出向き、資産運用や「相続・事業承継対策」などのコンサルタント業務に専念した。

当時、船舶や航空機、機械設備などを扱う大手リース会社が、全国に約20社あった。金融機関は自社系列のリース案件の販売代理をするのが通常だったが、百十四銀行は違った。全てのリース案件を比較して、顧客に最適なものを提案した。

面白いほど成約できた。百十四銀行は地方銀行で、紹介件数では毎年日本一になり、融資関連も大きく増やした。

リース案件の契約先は、優良企業ばかりだから不良債権はほとんど発生しない。経営が悪化しても、中途換金して倒産を防げる。

これが功を奏して、阪神・淡路大震災では多くの企業の倒産を防いだ。課税繰延効果のあるリース案件や、倒産防止共済等を紹介していたので、それらを換金して危機を脱出できた。

バブル破たんでも信頼を保つ

「大学と銀行で国際比較を勉強していたので、日本だけが異常に高いのはおかしい、必ず国際的に適正な水準に収れんされると思いました」

1980年代後半、バブル絶頂期に東京23区の土地価格でアメリカ全土が買えるという算出結果になるほど、不動産や株式などが高騰した。

「当時のFPのほとんどは、不動産や株式を顧客に勧めましたが、私は確定高利回りの保険やリース案件などをご紹介していたので、お客様の信頼を保つことが出来ました」

バブルの終息で、財界が共同で設立した日本初の総合リース会社「日本リース」が、98年に倒産した。負債額約2兆3000億円は当時の日本最高額だった。

「お客様を守るために、百十四銀行は経費も人手もかけました。この英断で、損失を節税効果の範囲内に留めることが出来ました」

会社が減り、ニーズが増える

「団塊の世代が今65歳で、70歳ぐらいで引退される経営者が多いのでニーズが増えています」

みどり財産コンサルタンツは、「相続・事業承継対策」を柱にするコンサルティング会社だ。

中小企業の約73%は赤字(2012年4月30日 国税庁公表)で、経営者は連帯保証人にもなっているし、倒産すれば借金のかたに家を押さえられるので、後継者のなり手が少ないという。

合併や買収も多いので会社の数は減っている。諸外国と異なり、日本の法人税は原則、赤字になっても戻らないし、相続税は所得税を払った後でまた払わなければならない。三代相続すれば財産が無くなるゆえんだ。

7業態ワンストップ革命

「7業態ワンストップ革命と名付けました。日本でトップクラスの品ぞろえをした、業界初のビジネスモデルだと自負しています」

好奇心を満たしてくれた銀行の経験に、さらに磨きをかけた手法だ。複数の対策を組み合わせると短所が消えることがある。

会計事務所、金融機関、不動産会社、建築会社、リース会社、FP会社、経営コンサルティング会社の諸対策を、顧客の立場で組み合わせ、魔術を起こす体制を整えたのだ。

好奇心が生んだ信頼の連鎖

顧客先を訪問する「出前相談」は愛用の自転車で

顧客先を訪問する「出前相談」は愛用の自転車で

「このビジネスモデルが信頼を得たんです。まさに魔法です」。2004年に銀行を退職、開業して間もない会社を任されたとき、顧客はゼロだった。

翌月2人の元上司から仕事を紹介された。それから次々と信頼の連鎖が起きた。8年で会社は、同業では西日本最大級になった。

人も集まり、育った。専任は11人。持株会社のみどり合同ホールディングスが統括するグループ全社では計55人。有資格者は公認会計士3人、税理士11人を含む27人。

目標は東京進出だ。取引先の3分の1が海外に出ているので、海外の拠点づくりも急務だ。そのためにもっと人が要る。有能な人をさらに増やすためにも、東京進出が必要だ。

仕事がますます面白くなる。「夜中まで働いて3時間ほど寝ただけで、新聞配達の人に会うほど早く出勤しても疲れなくなったのは、歳取ったせいでしょうか」と笑う。

現在の成果をもたらせた原動力は「好奇心」だった。好奇心は、成功のビジネスモデルを生んだ「魔法」でもある。

◆写真撮影 フォトグラファー 太田 亮

竹本 正憲 | たけもと まさのり

1946年 小豆島生まれ
1969年 慶應義塾大学経済学部卒業、百十四銀行入行
2004年 (株)船井財産コンサルタンツ(現・みどり財産コンサルタンツ)出向
    5カ月後、百十四銀行を定年退職して同社入社
2007年 代表取締役社長に就任
写真
竹本 正憲 | たけもと まさのり

株式会社みどり財産コンサルタンツ

所在地
高松本社:
高松市栗林町1丁目18-30 みどり栗林ビル
TEL:087-834-0122/FAX:087-862-0988
東京支店:
東京都千代田区丸の内3-1-1 国際ビル8F
TEL:03-6212-8921/FAX:03-6212-8922
設立
2003年11月
資本金
1000万円
代表者
三好貴志男 代表取締役会長
従業員数
12人
事業内容
法人税財務、法人組織再編・M&A、節税、相続・事業承継等のコンサルティング 他
関連会社
みどり合同税理士法人
株式会社みどり合同経営
公認会計士 三好貴志男事務所 他
地図
URL
http://www.mgrp.jp/staff/company06
確認日
2018.01.04

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