きっかけは、父の死。末期の肺ガンだった。「『大事なものは目に見えないことが多いよ』と、教えてくれていましたね」。写真家だった父の生き様を振り返って、葬儀で手紙を読んだ。「父を誇りに思う」。生きているときになぜ言えなかったのかと悔やんだ。
素材は布を選んだ。手紙を贈る人と贈られた人、その絆が糸をつむぐように深まればとの思いからだ。既製品は5000円、オーダーメードは1万円から販売している。装飾も花や水引、リボン、レースなどさまざま。封筒を飾れるよう、フレームも作った。
勝田さんがこれまでで一番うれしかった贈り物は、2人の娘からもらった手紙と指輪。自分の誕生日も「ハレの日」だと思えた。「米寿を迎えるおばあさんのために、また、自分のために封筒を作るお客様もいました。それぞれの『ハレの日』に使ってほしい」
結婚・出産を経験し27歳で再就職、30歳で離婚。その後、縁あって大阪にある建築関係の企業へ。仕事を通して空間をマネジメントする感覚をつかんだ。3年間、引っ越しはせず高松から通勤する生活を続けた。娘のため環境を変えたくないと考えたからだ。ハードな生活に追い打ちをかけるように、思いもよらなかった父の死。「後悔しないように生きなければ」。独立を決意した。
11年にはセレクトショップ「AIR MIRAIコネクト」をオープン。オリジナル商品は封筒と、リボンを使った花形の装飾品「おひさまロゼット」。そのほか、アロマや食器、革製品など自身が厳選した品を扱う。「作り手とつながる場」という意味で「コネクト」を付けた。
封筒のオーダーメードは、打ち合わせから完成まで約1カ月。依頼主の思いをじっくりと聞いてから製作を始める。希望すれば手作りも可能だ。「多くの人に温かい思いを伝えたい。また、そのきっかけになれば」との気持ちで、現在、大阪・神戸・京都・首都圏のホテルやゲストハウス、ドレスショップ、ブライダル業界を中心に販路を拡大している。
勝田さんが発信したエールが、人から人へ贈られる。「ありがとう」の連鎖がつながり始めた。
勝田 照望 | かつた てるみ
- 1973年10月1日 岡山生まれ
2010年3月 株式会社AIRみらい 設立
2011年3月 セレクトショップ「AIR MIRAIコネクト」オープン
2013年3月 "ハレの日封筒プロジェクト"
かがわ産業支援財団:創業ベンチャー・地域密着型ビジネス支援事業 認定
中小企業基盤整備機構近畿:販路開拓コーディネート事業 認定
- 写真
株式会社AIRみらい
- 所在地
- 高松市松縄町1133-8 スプリームビル103
- TEL
- 087-865-1545
- 資本金
- 500万円
- 社員
- 5名(パートを含む)
- 事業内容
- 家具、食器、雑貨、インテリアなど商品の企画・製造・販売
- 確認日
- 2018.01.04
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