この国のたたみ方

著:佐々木信夫/新潮社

column

2019.11.07

道州制が議論されていたのはもうずいぶん以前のような気がしますが、この本の著者は今も変わらぬ道州制論者であり、タイトルの「この国のたたみ方」とは現在の都道府県という制度を見直し、国や地方の統治システム全体をいかに賢くたたむか、ということです。交通手段が徒歩や馬だった時代に設定された都道府県という仕組みは、もはや合理性を失ったと言います。

日本の面積はアメリカのカリフォルニア州ぐらいで、戦後そこに高速道路、新幹線、そして97の空港をつくりました。その結果、移動の利便性は飛躍的に高まりましたが、政治行政の意思決定の仕組みは中央集権のままであり、この集権構造に高速網を通じたストロー効果が働き、東京一極集中がますます進むと著者は言います。

ここまでの議論は、すでに幾度もされてきましたが、一方でこの高速網で拡大した生活圏や経済圏に対して、今の47に分かれた都道府県制はあまりに細切れに感じてしまいます。人口拡大期に備えた政治革命が廃藩置県だとすれば、人口縮小期に備えた政治革命は廃県置州だと述べます。                   

著者が提言する全国各州の強みを活かす方策は、四国州であればオンリーワンが集積する島を目指せ、また沖縄であればハワイと競う存在を目指すということです。その他大阪は日本の副首都に、九州はアジアへのゲートウェイにと言います。この構想のよしあしは別にして現在の都道府県制を再検討すべきでその時間もあまり残されていないと訴えます。

山下 郁夫

宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

坂出市出身。約40年書籍の販売に携わってきた、
宮脇書店グループの中で誰よりも本を知るカリスマ店長が
珠玉の一冊をご紹介します。
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宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

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