則包商店は、丸亀市で約100年おいりを作ってきた。3代目の則包裕司さんは店に入って30年以上経つ。「手間を掛けるほど、まあるくきれいにできます」。妻の満由美さんは「私も、この子たちを嫁がせたくない、と思うくらいおいりに愛着が湧くんです」と話す。
祖父の代から変わらぬ工程は、約1週間。まず、県産のもち米で砂糖餅を作る。餅を延ばして乾燥させ、さいの目に切って再び乾燥。裕司さんが炒り、満由美さんが色付けしたら完成だ。
焼き上がったおいりを機械に入れ、回しながら蜜を掛ける。繭玉のようなおいりが桃や黄色に淡く色付いていく。おいり作りを始めて20年になる満由美さんは「最初は目が回って大変でした。毎日、一つ一つの作業が勝負です」と話す。2人の作業には無駄がなく、まさにあうんの呼吸だ。
県内でもソフトクリームやかき氷のトッピングとして定番になり、今では全国各地で使われている。「おいりが広まったことはうれしい。でも一時だけの商売にならないよう地道にやっていく。いずれは息子においり作りを伝えたい」と裕司さん。
満由美さんは「私たちは夫婦というよりも同志。夫には元気に長生きしておいりを作り続けてほしい。花嫁さんに、きれいなおいりを持たせてあげたいですね」と話す。用途は広がっても、おいりはやはり「嫁入り菓子」だ。(鎌田佳子)
則包 裕司 | のりかね ゆうじ
- 1955年 丸亀市生まれ
1974年 丸亀商業(現・丸亀城西)高校 卒業
1978年 桜美林大学 卒業
自動車販売会社を経て、則包商店へ
- 写真
則包商店
- 所在地
- 丸亀市中府町5丁目9-14
TEL.0877・22・5356 - 事業概要
- おいりの製造・販売
- 地図
- 確認日
- 2018.01.04
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