曽祖父が1917年に創業し、祖父、祖母、母と経営を引き継いできた。現在は母の高畑響子さんが社長で、桑田さんと夫の剛史さんが5代目にあたる。3代目の社長だった祖母のことが「大好き。祖父が早くに亡くなり、家のこともしながら店を切り盛りするかっこいい姿を見て育ちました」。祖母の邦子さんは35歳から85歳で亡くなる直前まで社長を務め、生涯現役を全うした。
高校生の頃、週末や夏休みには、響子さんが出張で京都へ行く時に同行した。京菓子屋を特集した本を3冊買い、空いている時間に一人で一軒一軒訪ねた。そうして理想の店と出合う。「作っているものや経営の規模が、私のしてみたいことに近かった。ここで修業すれば、学んだことを寳月堂で生かせると思ったんです」。だが、その店では「丁稚」を受け入れておらず断られてしまう。それでも諦めずに20回近く通い、働けることになった。
高校卒業後の2010年に入店。店は忙しく、餡を炊きながら、一方では寒天を固めつつ、また一方では生菓子を作るなど、いくつもの作業を同時進行でこなさなければならなかった。5年半の修業で学んだのは、人と協力して仕事をやり遂げることの大切さだという。
15年1月に同僚だった剛史さんと結婚し、同年9月に香川へ帰ってきた。SNSでの情報発信を始め、積極的にイベントにも参加。和菓子作りの出前教室を開催した。
辛糖は「2016かがわ県産品コンクール」の菓子・スイーツ部門で最優秀賞を受賞。「万人受けするお菓子ではないと思っていたので、受賞を聞いた時には驚きました」。高知のショウガ、愛媛のレモンを使った辛糖の別バージョンも作り、「徳島の産品を使って、四国4県がそろったら面白いなと考えています」
「お客さんが『次はどんな商品が出るんだろう』と、ワクワクしながら足を運んでくれるような店が理想。いつでも人が集まる場所にしたいですね」
今、一番心を砕いているのが、スタッフの働きやすさ。「みんながいかに快適に、楽しく、やりがいを持って働けるか。その環境をつくることに集中しています」
鎌田佳子
桑田 桃子 | くわた ももこ
- 1992年 丸亀市生まれ
2010年 大手前丸亀高校 卒業
京都の和菓子店での勤務を経て、
2015年 有限会社宝月堂 入社
御菓子司 寳月堂(おかしつかさ ほうげつどう)
- 住所
- 丸亀市米屋町16
TEL:0877-23-0300 - 地図
- URL
- http://www.hougetudou.com/
- 確認日
- 2018.07.05
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