人生を楽しむ きっかけを作りたい

ユーロスポーツ株式会社 代表取締役 髙橋 亮次さん

Interview

2017.08.17

「自他ともに認める“ぼんぼん”でした」と吹っ切れたように振り返る髙橋亮次さん(36)は、イタリアの高級車・マセラティの正規代理店「ユーロスポーツ」の代表を務める。ここに至るまでには、父との葛藤や妻の言葉などがあったという。
父は輸入車を扱う事業を約50年経営。その父の会社に勧められるまま就職し、将来は社長になると当たり前のように思っていた。「それなりに成績を上げていたこともあり、態度が大きかったし同僚に好き勝手なことを言っていました。今思えば無責任に意見を言うだけの評論家でした」。そんな自分を変えるきっかけは妻のひと言だった。「私だったら社員の気持ちが分からない経営者にはついて行かない」

目が覚めたような気持ちで、自分のあり方や将来を考えた。今まで親の顔色をうかがってきたが、いつまでも「○○の息子」と言われるのは嫌だ、今後は独立して全く違う業界で働くつもりだ、という本音を父にぶつけた。一方で、父の思いも聞いた。会社をそれなりに大きくしたが「中古車屋」と言われることが悔しかった、だからマセラティ正規ディーラーの権利を取った、いつかその権利を誰かに引き継いでほしいと思っている。その気持ちを知り、銀行から借金をしてマセラティ正規ディーラーの権利を買い取り、別会社として経営を行うことにした。
イタリアのマセラティ本社前で

イタリアのマセラティ本社前で

社長就任から5年後、マセラティについてはどこよりも知るディーラーを目指そうと、ほかの輸入車ブランドをすべてやめて1本に絞った。するとその年、販売・整備の満足度など約100項目で審査される「ベストディーラーアワード2013」で評価され、全国のマセラティディーラーの中で1位に選ばれた。「でも、会社としては赤字でした。ボーナスも払えず社員からは『マセラティ1本に絞ったから売上が下がったんでしょ』という声もあった。誰が喜ぶ日本一なんだと悔しかった」

同じ時期、個性的なデザインのマセラティがイメージチェンジし、他ブランドの顧客もショールームを訪れるようになった。コアなファンだけではなく、マセラティは購入候補の一つというお客さんにどう満足してもらうか。これを機に、接客を徹底的に見直した。装備や整備のことなど何を聞かれても答えられる車のプロになるのは当たり前。その上で、グルメや旅行といった話題の引き出しを多く持つよう心掛けた。「車以外のことでも『あの人に聞けば何か教えてもらえる』と思ってもらうこと。信頼関係を築いていくところからだと思います」
数々の受賞トロフィー

数々の受賞トロフィー

これらの取り組みのおかげもあり、翌年も2年連続でディーラー日本一に選出された。この年は利益も上げられ、社員とともに喜びを分かち合った。

顧客との良好な関係が築けると「髙橋さんが勧めるから買う」という人も増えてくる。時には、マセラティ以外のブランドについて聞かれることもある。「別のディーラーにつなぎますが、僕を頼ってくださったお客様に最後まで対応できないことが申し訳なくて」。そこで父の会社を吸収してノウハウと社員を引き継ぎ、再びマセラティ以外の輸入車も扱うことにした。整備・板金塗装の事業にも乗り出し、購入後もお客さんと長くお付き合いできる体制を整えた。

会社が目指すのは、お客さんが輝くきっかけを作ること。「ただの移動の手段ではなく、この車があるからどこに行こうかとワクワクしてもらいたい。車を買ったことで人生が豊かになったと言ってもらえたら何より嬉しいですね」(石川恭子)

髙橋 亮次 | たかはし りょうじ

1980年 高松市生まれ
1999年 高松北高校 卒業
2003年 徳島文理大学 卒業
    株式会社三和 入社
2008年 ユーロスポーツ株式会社 設立
    代表取締役 就任
写真
髙橋 亮次 | たかはし りょうじ

ユーロスポーツ株式会社

所在地
高松市御厩町1344-2
TEL.087・864・7010
事業概要
マセラティ正規代理店、輸入新車及び
中古車車輌販売事業、事故修理及び板金・塗装
自動車保険代理業務
資本金
1000万円
従業員
18人
地図
URL
http://euro-s.net
確認日
2018.01.04

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