食品から天然ガスまで 用途に合わせたタンク製造

株式会社三好鉄工所 代表取締役 三好 宏和さん

Interview

2014.01.16

早くて安くてうまい。ファストフード店のキャッチコピーのようだが、三好宏和さん(44)は自社の強みをこう語る。株式会社三好鉄工所は、各種容器や鉄鋼構造物の専門メーカーだ。

工場内にそびえ立つ真っ白な塔の正体は、貯蔵用タンク。ビールやしょうゆといった食品、酸素や窒素、天然ガスなど貯蔵するものに合わせてステンレスや鉄で造られている。

「天然ガスを液化すると体積は気体の600分の1になり、たくさん貯蔵できますが、マイナス250度の温度を保たなければいけません。『超低温貯槽』は、タンク内外の気温の変化に対応できる丈夫さが特長です」

ガス用タンクは真空断熱で、魔法瓶のような仕組みだ。大きいものは直径3.8メートル、長さ15メートルにもなる。一つ仕上げるのに4カ月ほどかかることも。「国内では、うちの納期が一番早いと思います」。通常は、部品の取り寄せに時間がかかるが、必要なものを自社で製造することで費用と時間をカット。「自分の手が届く範囲で、一連の作業を行うことを心掛けています」

近年新たに手掛けたのが、希少糖含有シロップ製造用のタンクだ。「番の州のシロップ製造工場に20基搬入しました。食品用タンクは、何よりも清潔であること、衛生面に問題ないかが重視されます。中身によって容器の仕様は本当にさまざまです」

昨年12月に先代社長である父が亡くなった。「悲しんでばかりいられません。"蘭心竹生"で、陽気な人だったので、私たちも前を向いて同じようにやっていかないと。本当に社員のみんなが良くやってくれています」

「経営者とはどんなに非難を受けても罵声を浴びせられても、人がやりたくないことをしなければならない。その覚悟があるか」。父から教わった経営者としての心構えが、強く心に残っている。
三好さんが約10年続けているのは、インドネシアから3人の実習生を毎年受け入れること。実習期間は3年で、常時9人が勤務している。

「社員も彼らの手本にならなければと背筋が伸びるようです。彼らは一度のチャンスを逃さず、それにかける情熱もすごい。これからも応援したいし、一緒に仕事がしたい」

自身も海外留学経験が8年あり、彼らの苦労と努力がよく分かる。高校卒業後、オーストラリアに渡り、その後、アメリカの大学を卒業、さらにイタリアの大学への編入も経験した。海外への憧れは、子どものころ見ていたプロレスに影響を受けたため。

「デビューして日本国内で負け続けていたレスラーが、メキシコやアメリカで修行を積んで帰って来ると、チャンピオンになるほどのつわものに成長しているんですよ。自分も海外で武者修行すれば、凱旋帰国できると信じていました」

アメリカの大学を卒業するとき、さらにイタリアへ留学したいことを父に伝えると、「好きなことをやれ」と応援してくれた。「そのときの父がとてもかっこよくて。留学を終えたら、この人についていこうと決意しました」。27歳で帰国し、三好鉄工所に入社。34歳で代表取締役に就任。そして10年が経った。

「作業工程の無駄は省いても、コミュニケーションのゆとりは必要だと思います。ものづくりの技術と同じように、営業力も高くなければ。これからも人と人との付き合いを大事にしていきたい」

三好 宏和 | みよし ひろかず

1969年3月20日 大阪府豊中市生まれ
1996年4月 株式会社三好鉄工所入社
2003年11月 代表取締役就任
写真
三好 宏和 | みよし ひろかず

株式会社三好鉄工所

所在地
仲多度郡多度津町西港町16-10
TEL
0877-33-0080
資本金
2400万円
社員数
26名
事業の概要
液化天然ガス用(LNG)超低温貯槽、
ビールタンク、各種塔槽類、鏡板の製作
確認日
2018.01.04

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