アンティークの魅力を建築を通して伝えたい

アールデザインYOSHIE 建築デザイナー・村上良枝さん

Interview

2020.10.01

一級建築士の村上良枝さんは、インテリアコーディネーターとしても活躍する。2020年、日本各地のガラス、漆器などがそろう日本最大級の器の祭典「テーブルウェア・フェスティバル」内で開催されるコンテストに作品を出品。初参加ながら入選を果たした。

出品した「浜千鳥―明治ガラスで時をつなぐ―」は、独特の風合いをもつ明治時代のガラスの器と、大正時代の着物古布をコーディネートして祝いの食卓を表現。「入選したことはもちろんですが、何より私が好きな明治ガラスを東京ドームに集まった多くの人に見て、知ってもらえたことがうれしかった」

子どものころ、休暇を母親の実家の古民家で過ごした時の思い出が、伝統的な建築に興味をもつきっかけ。建築業界へ進んでからは、和の生活骨董を中心にアンティーク品を収集するようになった。作品に使われた明治ガラスも収集品の一つだ。「ものには、それが生まれた時代背景や当時の技術が反映されている。特に明治・大正は、海外の技術をどん欲に吸収しようとした時代で、ヨーロッパをはじめ世界のデザイン、素材、技術がミックスされているところがおもしろい」
ショールームの一部に古い金庫を設置

ショールームの一部に古い金庫を設置

建築士として住宅や店舗などを意匠設計する中で、アンティークや古材を使うこともある。古い金庫をショールームに置く、照明をアンティークにする……アクセントとして取り入れることで印象的な空間が提案できる。

建築でアンティークを使うのは、人に見てもらう機会を増やし「うちにも同じようなものがあるけど大事にしよう」「こんなふうに日常で使えばいいんだ」と新たな価値を発見してもらいたいから。施主とじっくり打ち合わせする中で古い素材を提案し、風合いを気に入ってもらえると手応えを感じる。アンティークたちに再び活躍の場ができるのもうれしいという。

また、意匠の中に伝統的な材料を採用する事で、加工するなどの技術を職人さんたちが発揮できる。技術を生かす場をつくり、次の世代につなぐお手伝いができることにも意味があると考えている。
手掛けたテーブルコーディネート

手掛けたテーブルコーディネート

収集している古材やアンティークは、“預かったもの”だと思っている。「ガラスや陶磁器といった壊れやすいものも、誰かが愛着を持って大切にしてきたから現在まで伝わってきた。私が持っているものもゆくゆくは大事にしてくれる人に受け継いでもらう。“愛着の継承”をしたい」

今、若い世代の間で古いもの、レトロなものへの注目が高まっているという。そこで今後は、日本の生活骨董を中心に他国のアンティークや古材の販売も計画している。「アンティークの魅力をより多くの人に知ってもらいたい。私自身が手掛ける建物も、アンティークのように愛着をもって長く使い続けてもらえるものにしたいと思います」

石川恭子

村上良枝さん | むらかみ よしえ

略歴
高松市生まれ
建築会社、建材メーカー勤務を経て
2008年 アールデザインYOSHIE設立
 20年 テーブルウェア・フェスティバル2020テーブルウェア・コーディネート部門 入選
インテリアコーディネーター、一級建築士、宅地建物取引士
県建築士会理事、日本商環境デザイン協会四国支部会員

アールデザインYOSHIE

代表電話番号
090-7579-4885
事業内容
建築デザイン、アンティークコーディネーションのほかインテリア商材を扱う
確認日
2020.10.01

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