「勝手に瀬戸芸」
芸術祭の秋会期が終わる頃に「瀬戸芸お片付けごみ拾い」と題し、約80人のボランティアを集めてサンポート高松周辺を清掃した。工芸ズのメンバーは8人に増えていた。
14年から県内のクリエーターと中小企業を結ぶマッチングイベントを行い、15年からは香川県内の学生を対象としたキャッチコピーコンテスト「平賀源内甲子園」を始めた。
コンテストの課題は香川の特産品や企業にキャッチコピーをつけること。課題に取り組むことで、子どもたちがクリエーターに興味を持つだけでなく、地元企業を知るきっかけにもなっている。「学生が考えたコピーを広告に使う企業もあります。お互いにとってうれしい企画になれば」
最終審査と授賞式には、特別審査員として第一線で活躍するコピーライターを東京から招く。授賞式ではトークショー、地元のおいしい食べ物の販売、クリエーターによるワークショップも実施。3回目の「甲子園」は今年秋に開催予定だ。
メンバーは13人に増え、16年の瀬戸内国際芸術祭では公募で参加アーティストに選ばれた。盆栽作家とともに「feel feel BONSAI」という作品を展示した。
究極のサービス業
村上さんは1997年に工芸高校のデザイン科を卒業後、京都芸術短期大学に進学。約8年、関西でアパレル、飲食、デザインなどの仕事を経験した。父が体調を崩したことをきっかけに帰郷し、広告会社でデザイナーとして数年働いて独立。2013年に株式会社スクルトを設立した。広告や商品パッケージ、ロゴのデザインだけでなく、企業のブランディングも担う。
「広告代理店や印刷会社の下請けでは満足できず、直接お客さんと仕事がしたいと思い、決めました」。顧客は飲食店や機械製造業など幅広い業種の県内企業が中心だ。企業と二人三脚で、商品やサービス、企業イメージといったブランドを育てていく。
「忙しくて大変だけど、好きな仕事をしているのでつらいと思ったことはないですね」。工芸ズも部活動だからこそ続けられるという。昼は仕事、夜は部活と、学生時代と同じように楽しむ。「良いデザインをするのが僕らの仕事。でもそれだけじゃ生き残れない。自分は何ができるのかを発信していく時代だと思います。『私はここにいます』。工芸ズはそんなことを広めていく活動ですね」
村上 モリロー | むらかみ もりろー
- 略歴
- 1978年 8月 高松市生まれ
1997年 3月 高松工芸高校 卒業
1999年 3月 京都芸術短期大学 卒業
2013年 9月 株式会社スクルト 設立
おすすめ記事
-
2023.12.07
超インテリアの思考
著:山本 想太郎/晶文社
-
2020.10.01
アンティークの魅力を建築を通して伝えたい
アールデザインYOSHIE 建築デザイナー・村上良枝さん
-
2020.01.03
なぜ香川には美しいものがたくさんあるのか (後編)
中條亜希子
-
2019.12.05
なぜ香川には美しいものがたくさんあるのか (前編)
中條亜希子
-
2019.04.04
邦坊が手掛けた鴨尽くしの銀波亭
灸まん美術館 西谷美紀
-
2018.10.04
面白い発想を思いつくためには?
株式会社 新閃力 代表取締役社長 尾崎 えり子
-
2018.07.05
小さな円が世界への縁に
ハッピーサークル 松浦産業
-
2018.05.03
水平、垂直方向にかみ合うから強い
車道対応型舗装ブロック「ストロングペイブ」 日本興業
-
2018.01.18
「デザイン思考」で 香川大学が変わる
香川大学 学長 筧 善行さん
-
2014.07.17
紙と活版印刷に魅せられて
かみをり 飯田 博さん
-
2015.07.16
笑顔の奥に光る強さ
デザイナー 平原 彩美さん