ないものは、つくる

ジェムスクール 代表 合田 美雪さん

Interview

2017.04.20

あなたは毎日会社に行くのが楽しいですか?

この質問にほとんどの社員が「はい」と答える会社が観音寺市にある。香川と愛媛で英会話スクールと学習塾12校を運営するジェムスクールだ。2015年に四国で初めて「働きがいのある会社Great Place to Work® 」(注1)に選ばれ、今年で3年連続になる。Forbes JAPANの「JAPAN WOMEN AWARD 2016」(注2)に四国で唯一選出。「平成28年度香川県ワーク・ライフ・バランス推進企業表彰知事賞」も受賞した。代表の合田美雪さん(59)は言う。「大企業で資金があるからいい職場環境が整うわけではない。うちのように小さな商圏で事業活動する会社でも、頭を切り替えるだけで、できることは山ほどあると思います」
結婚を機に観音寺へ。大阪の中心部で育った合田さんに周囲の人たちは「田舎で何にもないやろ」となぐさめるように言った。だが特に不便も感じなかったし、豊かな自然と広い家、のびのび暮らせる幸せは大きかったと振り返る。「情報とか教育とか、田舎だから遅れていると思う必要なんてないのに」。それなら、自分がこの町で立ち上げたスクールで日本一の教育環境をつくろうと考えた。

当時、英会話を習いたい人は、地域にほとんどいなかった。それでも、スタート後しばらくして講師をアメリカ人に切り替え、授業はすべて英語で行った。なぜなら、日本語が通じない講師に英語で何かを伝えられた時の方が、喜びが大きいという自身の経験があったからだ。「講師が一方的に教え、生徒がそれを繰り返すことが学びだとは思いません」
授業風景

授業風景

講師と生徒の立場を超えた関係づくり、教材もシステムもないものはつくるという姿勢。そんな教育方針の発展形が、数々の賞を受けた「働き方の仕組み」だと言う。

まず、お互いを肩書で呼ばない。年齢や社歴に関係なく意見が言える雰囲気を作った上で、いいアイデアなら若手の発案も全スクールで採用し責任を持たせる。子連れ出勤もできる。やりたい人は自分の能力を存分に生かせる環境が整っている。

一方で、今は子育てをしたい、介護がある、趣味の時間がほしいという人もいる。「そういう時、今の社会では仕事を辞めるとか子育てにしわ寄せがいくとか、0か100しか選べないことが多い。でも、今は30ぐらいで5年後は50ぐらいの力で、とその時理想とする形で働ける場所があれば、磨いたスキルをあきらめる人も減ると思うんです」

その仕組みを支えているのが、最新のビジネスクラウドの構築だ。ITシステムでお互いの状況を随時把握することで、休んだスタッフの代わりに別のスクールからスタッフがすぐ駆けつける、新人がつまずきそうだと察知した先輩が早めにアドバイスして失敗を防ぐ。「育児と仕事ということがよく話題になりますが、女性も男性も関係なく人として大切にしている部分を犠牲にしない働き方が理想。それは、システムを導入するだけではなく、会社のルールや働く人の意識を変えないと実現しないと思います」。ジェムでは、自分たちのノウハウが少しでも役に立てばと、働き方の仕組みを公開している。
イベントの様子

イベントの様子

< 注1> 世界共通の基準で「働きがいのある会社」を調査分析し、各国ごとにランキングで発表。約50カ国7000社が参加する世界最大規模の従業員調査
< 注2> 「Forbes JAPAN」が、意欲ある女性が働きやすい環境を積極的につくっている企業を表彰するアワード

編集長補佐 石川 恭子

合田 美雪 | ごうだ みゆき

1957年 9月 大阪市生まれ
1980年 3月 京都産業大学外国語学部英米語学科 卒業
1981年 3月 ジェムスクール創業
1987年10月 アメリカ、ユタ州オレム小学校教師
写真
合田 美雪 | ごうだ みゆき

有限会社ジェム

住所
観音寺市栄町1-4-10
TEL:0875-24-5321
事業概要
英会話スクール、学習塾の運営
従業員
46人
地図
URL
http://www.gemschool.com/
確認日
2018.01.04

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