
「家具店に行くと寝具売り場には多くの商品が並びますが、その中でどれが本当に自分に合うのか判断するのは難しい。私にとってベストなものをもっと忖度なく教えてほしいという私自身の思いから、物を売る場ではなく『いい眠りとは何か』をじっくり考える場を提案したいと考えました」と満井さん。病気をきっかけに睡眠の質が健康を大きく左右すると気づき、自店舗のベッド・寝具販売スタイルを大胆に刷新したのが『GOOD SLEEP STORE』だ。
たっぷりとした空間は、研究所をイメージして白を基調とするシンプルな内装。屋外の喧騒が遠く、美術館のような落ち着きが漂う中、商品の組み合わせや価格帯の異なる20数台のベッドが並んでいる。いずれも西岡さんと満井さんが1年がかりで国内外の工場や導入事例を視察し、実際に体感して選んだもので、中には中四国・西日本初上陸の商品も。すべて気軽に寝心地を確かめられるのはもちろん、寝室を模したスリーピングルーム(要予約)では、気になる商品を選んで2時間程度寝てみることができる。接客や睡眠体験のカウンセリングは、寝具ソムリエや快眠セラピスト、メーカー独自の認定資格などを取得しているスタッフ6人が対応する。

情報発信はSNSが中心。新館が完成していく過程などを含め「思いを伝える」ことを重視した投稿で、コンセプトに共感する客層の開拓を目指す。隣接する雑貨店の顧客層は近隣中心だったが、新館は30~50代の女性をメインに遠方から来る人が増えている。生活を大切にする層の増加に伴って、雑貨店でも品質へのこだわりが光る商品や自然素材の人気が高まる動きも生まれた。
満井さんは「新館の雰囲気から、高いものが多そう…と思われがちですが、高いからいいとも限らないんです。あくまで予算の範囲で、当たり前だと思って使っていたものを見直し、今より質のいい眠りを実現するための『いいもの』を選んでほしい」と語っている。
戸塚 愛野
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