地域課題の解決にテクノロジーで貢献したい

日本電気(NEC)四国支社 支社長 船田晃さん

Interview

2020.10.01

2017年、高松市を中心に6つの企業が発起人となり「スマートシティたかまつ推進協議会」が設立された。NECは発起人となった企業の一つで、船田晃さんは現在、四国支社長として活動に深く関わっている。

スマートシティは地域の課題に対し、ICTといった最新技術を使ってデータ収集や分析などを行い、より便利で快適に過ごせる街を目指すこと。高松市では防災、観光、福祉、交通分野での取り組みが進められている。

各分野が違うシステムを使い、バラバラにデータ収集・活用したのでは意味がない。「データを横断的に使え、新たな分野が追加されても対応できる共通のプラットフォーム構築にNECがかかわりました」

例えば防災分野では、災害が発生する可能性の高い沿岸部や小規模河川、冠水しやすい道路のアンダーパスにセンサーを設置、リアルタイムに地図上で監視できるシステムを構築した。「これまでは市の職員がパトロール等で監視していましたが、地図上に見える化することで、迅速な状況把握、避難誘導や災害対策の早期化を実現し、地域の皆さんの安心・安全につながっています」

「ありがとう」を積み重ねる

河川の水位センサーを確認

河川の水位センサーを確認

入社時はSEとしてシステム開発をしていた。2年目の時に担当した会社の営業所で、事務スタッフが「商品が何時ごろ配送されるか」という問い合わせに、紙のリストをめくって対応している姿を見て、簡単に検索できるプログラムを作ってリリースした。「便利になった!ありがとう!と何度も言ってくれたことを今でも覚えています」

異動を機に、30歳で営業職に転向。最初はものを作る喜びがなく戸惑ったが、ある企業のクレジット管理システムを導入する提案が採用された時、「お客様の責任者と私は、自らの進退をかけて成功を誓った」。プロジェクトが進むにつれさまざまな課題が出てくる。弱音を吐く自社のSEと時にぶつかりながら、限られたコストとスケジュールの中で解決策を見出していく。何とかシステム稼働にこぎつけたときの達成感は大きかった。

「SEからマネジメント職へ、視点は変わったかもしれませんが、お客様に満足してもらうという根本は同じです」。日常にはさまざまな課題があり、それを解決できれば感謝が生まれる。「小さな課題を一つひとつ解決し、お客様の“ありがとう”を積み重ねていきたい」

思いをもつ人を増やす

システムについて社内で議論

システムについて社内で議論

学生や女性といった違う視点をもつ人たちが課題を持ち寄り、議論する場も積極的に設けている。その場で出た課題やアイデアは、技術を生かした街づくりのヒントにもなる。「参加した学生が地域の課題解決に興味をもてば、卒業後も地域に残って活動してくれるかもしれない」

街づくりには技術も必要だが、そこに住む人たちの意識も大切だ。「地域にかかわろうという“思い”をもつ人を増やす取り組みも、地道に続けたいですね」

石川恭子

船田晃 | ふなだ あきら

略歴
1969年 愛媛県宇和島市生まれ
1987年 宇和島東高校 卒業
1992年 愛媛大学理学部数学科 卒業
    日本電気株式会社 入社(SE)
2000年 松山支店(営業)
2007年 松山支店マネージャー
2012年 四国支社産業営業部長
2016年 産業ソリューション事業部シニアマネージャー
2017年 四国支社長代理
2019年 四国支社長

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