FGROW JAPANの「陸上養殖ユニット」
水産物を中心とした食品の加工・製造・販売を手掛けるFGROW JAPANでは、IoT技術を活かした新たな水産業に挑戦している。その一つが「陸上養殖ユニット」。駐車場1台分ほどのスペースで水産物を養殖できるユニットで、電源は太陽光発電、水槽の水も循環自動ろ過と環境にも優しい。また、水質・水温なども自動管理できるため、個人でも比較的簡単に水産物の生産ができるのが特徴だ。
現在、自社でも車エビを養殖しているほか、エビの出す硝酸を海ブドウが消費して浄化するなど「魚+植物」の循環型育成方法や、魚の種類に応じた環境設定などについてユニットの開発会社と共同で研究を進めている。
あえて“小型分散型”のユニットを提供することで、お店で養殖した水産物をその店で提供する“店産店消”といったスタイルも可能になるほか、大規模な陸上養殖を行う企業と養殖する魚種を差別化することで、共存しながら日本全体の水産資源自給率を上げることができると考えている。
事業を通して目指しているのは、食料を次の世代に残す仕組みをつくり出すこと。水産業を成長産業にすることに貢献してそのイメージも変えたいという。
「陸上養殖ユニット」についてどんな研究を進めていますか。
中條 最適な環境は魚種によって違うので、どの魚種を選んで研究を進めるかもポイントになります。その基準として気候風土に適しているだけではなく、例えばヒラメやサーモンなど飲食店でニーズが高いかどうかといったことも重要になります。
環境を整える上で水質管理は欠かせません。エサの残りかすやフンなどをいかに早くろ過できるかも成長スピードに関わってくるので、私は機械担当としてろ過装置をはじめ、水温や酸素濃度、pHといったデータがスマホで見られるシステムの研究も進めています。
白鯛 太陽光を電源に水槽の水をろ過、循環することは環境負荷の低減にもつながります。また、アオサ科の海藻は一部のエビのエサにもなり、水もろ過するのでエビと一緒に飼育する方法が確立すれば、水槽内でより自然に近い循環が実現しますし環境にも優しいと思います。
研究を通じて感じたことは。
白鯛 限られたスペースでの実験なので、現在ある装置を使い様々に条件を変えなければならないんですが、機械専門の中條さんが柔軟に対応してくれます。お互いの得意分野を活かせていると感じます。
今後に向けて。
白鯛 陸上養殖を持続可能な産業として成長させるために――。興味を持って始めた人が手間なく続けられるようなサポートについても考えていきたいですし、陸上養殖を通して一次産業のおもしろさや醍醐味を感じてもらいたいと思っています。
◆キーワード
スマート水産業
FGROW JAPAN 株式会社
- 住所
- 香川県高松市庵治町6393番地45
- 代表電話番号
- 087-871-1910
- 設立
- 2001年6月(株式会社藪水産)
- 社員数
- 60人(グループ)
- 事業内容
- ①水産物を中心とした食品製造業
②食品販売業 - 関連会社
- 株式会社F&T COMPANY
株式会社FGROW - 地図
- URL
- https://fgrowjapan.com/company/
- 確認日
- 2024.04.04
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