
この人工知能のツールは、みなさんご存じのように企画書や始末書などのビジネス文書、読書感想文からラブレター、さらには小説まで頼めばなんでも書いてくれるといいます。会話や質問をすることもできるし作詞や作曲もできます。すでにそうやって作られた音楽や小説がどのくらい世の中に入り込んでいるのか実態はわかりません。ただし、このようなことは大規模言語モデルの持つ可能性のほんの一部分だということが本書を読むとわかります。大規模言語モデルはChatGPTなどのツールを支える仕組みだということですが、それは人類の知を書き換えてしまうような方向へ進むかも知れません。なにしろこの大規模言語モデルは四六時中ウェブ上で入手可能なデータや本、プログラムコードをもとに疲れ知らずに学習しています。そしてこれは完成形ではないので、これからどういう形に変化あるいは進化していくのか想像もつきません。ChatGPTをはじめマイクロソフトのビングAIやグーグルのバードなどすでにこういったサービスはいくつか登場していますが、特定の人に独占されたり、悪意を持った人や組織に運営されないかとても心配です。
自動車やパソコンあるいはインターネットやスマホが出現して便利になったし生活スタイルも一変しました。一方で失ったものもまた大きいと最近つくづく思います。このAIの出現は自動車やインターネットの出現がかわいく思えてしまうほどの衝撃かもしれません。
山下 郁夫
宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん
- 坂出市出身。約40年書籍の販売に携わってきた、
宮脇書店グループの中で誰よりも本を知るカリスマ店長が
珠玉の一冊をご紹介します。 - 写真
宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん
おすすめ記事
-
2021.04.01
スマホ脳
著:アンデシュ・ハンセン/訳:久山葉子/新潮社
-
2020.01.03
ネオサピエンス 回避型人類の登場
著:岡田尊司/文藝春秋
-
2025.01.03
いつも、そばに
宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫
-
2024.12.19
新聞のススメ
1日15分でつくる教養の土台著:高井 宏章/星海社
-
2024.10.17
なぜ働いていると本が読めなくなるのか
著:三宅 香帆/集英社
-
2024.08.01
天気の不思議を読む力
著:トリスタン・グーリー/エイアンドエフ
-
2024.07.04
散歩哲学 よく歩き、よく考える
著:島田 雅彦/早川書房
-
2024.06.06
日本の物流問題-流通の危機と進化を読みとく
著:野口 智雄/筑摩書房
-
2024.01.04
世界を動かした名演説
著:池上 彰、パトリック・ハーラン/筑摩書房
-
2023.12.07
超インテリアの思考
著:山本 想太郎/晶文社
-
2023.11.02
昭和ブギウギ
笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲著:輪島 裕介/NHK出版
最新紙面情報
Vol.412 2025年08月21日号
「ここに来て良かった」 生徒一人一人に寄り添って
学校法人村上学園 理事長 村上学園高等学校 校長 村上 太さん
モニタリングの知見を生かし 地域と「顔の見える対話」を
日本銀行 高松支店長 稲村 保成さん
諸機関と柔軟に連携し 四国の中小企業に寄り添う
独立行政法人 中小企業基盤整備機構 四国本部長 田中 学さん
まち全体を一つの「宿」に見立て 古民家を核に日常風景の魅力を発信
NIO YOSUGA 代表取締役 竹内 哲也さん/菅組 社長 菅 徹夫さん
生徒の「やってみたい」が地域とつながる 進化するボランティア団体「TSUNAGU」
大手前丸亀中学・高等学校