ネオサピエンス 回避型人類の登場

著:岡田尊司/文藝春秋

column

2020.01.03

IT

回避型人類という言葉を聞いたことがありますか。著者は冒頭、私たち人類はいま、新たな進化の段階に突入していることは間違いないと述べます。どういうことでしょうか。

この本に基づいて説明しますと、現在進行しているIT革命は、産業革命が社会の構造の大変革をもたらした以上に、それは社会だけでなくわれわれの精神構造や存在様式そのものを変えようとしています。そこで同時に進行しているのが、愛着障害と脱愛着化であり、この愛着システムの変化こそが大きな要因だといいます。    

愛着障害は80年代より急増、2000年代には爆発といえる状態だといわれます。その中に現れ、問題として表面化してきたのが回避型人類です。著者はネオサピエンスと呼びますが、かつて揶揄の意味も込められて名付けられた新人類とは大きな違いがあります。回避型人類は激変する環境に適応するために生み出されたものだと言えますが、それはこの先、そうした人々が激増することを意味します。

回避型人類とは心の絆を求めない、単独生活が基本で集団への嫌悪と恐怖をもち、子育てに関心がなく死を悲しまないという特徴を持っているようです。共感型の人を旧人類と呼ぶならば、愛着崩壊した環境に適応する術を手に入れた回避型人類である新人類との間に何が起こるのでしょうか。全く異なる行動スタイルと価値観を持つ両者の数の上での逆転もそう遠くないと著者は述べます。

山下 郁夫

宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

坂出市出身。約40年書籍の販売に携わってきた、
宮脇書店グループの中で誰よりも本を知るカリスマ店長が
珠玉の一冊をご紹介します。
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宮脇書店 総本店店長 山下 郁夫さん

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