高い塗装品質を支える
設備力と学ぶ意欲

四国塗装工業

Tec✕Tec

2024.05.14

写真左:塗装課 住友一輝さん (飯山高校出身) 写真右:電着塗装課 課長 上田英吾さん (丸亀城西高校出身)

写真左:塗装課 住友一輝さん (飯山高校出身)
写真右:電着塗装課 課長 上田英吾さん (丸亀城西高校出身)

四国塗装工業の「全自動電着塗装ライン」

さまざまな分野で産業活動を支える金属機械。その多くは、用途に合わせた「塗装」を表面に施されている。色やデザインによる視覚的な効果とともに、耐久性を高め水やサビなどから機械を保護する役割なども求められ、塗料を粉状にして吹き付ける「粉体塗装」、コストを押さえつつ多彩な表現ができる「溶剤塗装」など、塗装の目的に応じて技法も多岐にわたる。

中でも、水溶性の塗料を溜めた槽に機械を浸し電気で塗料を密着させる「電着塗装」は、保護力が高く塗料のロスも少ない技法で、自動車業界をはじめ高いニーズがある。

この電着塗装を全自動で行える、中小企業としては非常に珍しい設備力が四国塗装工業の特長だ。板金から下塗り・上塗りまでの一貫体制を四国塗装工業グループとして確立し、安全かつ効率的・高品質な塗装技術で、受配電盤や工作機械、農業機械などの金属塗装分野で強みを発揮している。

技術者はほとんどが入社してから塗装のノウハウを学ぶが、ゼロからでも約3年で一定レベルの技術が身に付く教育体制だ。資格取得支援などのサポートが手厚く、約半数が国家資格「塗装技能士」1級を取得済み。全自動化ラインをより効率よく運用するためには、人の目と手でコントロールが必要な部分も多く、一人ひとりの学ぶ意欲の高さが現場全体のレベルアップにつながっている。

現在担当している業務は。

塗装課 住友一輝さん(飯山高校出身)

塗装課 住友一輝さん(飯山高校出身)

住友 知り合いが働いていたのをきっかけに当社のことを知り、高校を通じて応募しました。ゼロからのスタートで、技術は入社後のOJTで少しずつ身につけて6年、今の業務は下塗りを終えた製品に金属を吹き付ける上塗り工程です。扱う塗料によって塗り方が変わり、ツヤを出すかどうかも塗り加減を左右する、いわば職人技の世界。最初はなかなか感覚がつかめなくて土日の休み明け、月曜の作業が不安だったくらいですが、塗装中の先輩たちの姿はやっぱりかっこいいんですよ。その背中を見て学び、先輩に見てもらいながら簡単なものから自分なりに技術を磨いていって……。1年くらいでようやく自信がつきました。

上田 私も当社で働く友人に誘われて転職を決めました。造船業界で溶接にかかわっていましたが、塗装は入社後に身につけた技術です。今は当社に運ばれてきた製品の受け入れ・積み下ろしに始まり、ライン全体を見守りつつ納期・生産管理を担当しています。扱う製品は配電盤をはじめとする「箱」ものを中心に農機具からクレーン車などの建機まで、サイズも形も用途もさまざまです。自動化しているため上塗り工程のような職人技とは少し違いますが、塗装する対象を溶剤の入った槽に漬ける際の「吊るし方」「沈め方」には人間の感覚が必要で、吊るし方によって1日の作業台数が変わることもある。目に見えない技術力ではありますね。

今後、力を入れていきたいことは。

電着塗装課 課長 上田 英吾さん(丸亀城西高校出身)

電着塗装課 課長 上田 英吾さん(丸亀城西高校出身)

住友 なかなかうまくいかず反省することばかりだった入社直後、先輩のアドバイスをもらえるオープンなミーティングがあったのはとても助かりました。技術者全員でレベルアップを図る風土に支えられ、現在は塗装技能士1級合格を目指しています。資格対策は上司がマンツーマンに近い形で教えてくれて、合格すれば会社が費用も負担してくれるなど、サポートが充実。しっかり資格を身につけてグループリーダーに昇格し、工場を任せてもらえる存在になるのが目標です。小学校から高校まで続けた野球ではチームのキャプテン兼ムードメーカーでした。打ち込む対象が野球から仕事に変わった今も、「とことん本気になる」マインドは変わらず活かしたいと思います。

上田 私は現場作業から管理業務に重点が移り、多種多様な溶剤を現場が正しく扱い、溶剤を入れ替える際もロスなく、段取りよく動けるように差配するのが重要だと感じています。自分の差配で実際に生産力が上がったのは自信につながりました。今の目標はメンテナンスなど設備にかかわることを自分でこなせる知識と技術を身につけること、管理職としては、現場の動線から人間関係まで、みんなが働きやすい環境をつくることです。当社に入るまではやりたいことが具体的に見えていませんでしたが、ここで経験を積んで目標や生きがいが生まれたと実感しているんです。

◆キーワード


電着塗装

水溶性の塗料を入れた槽に、塗料を塗る対象物を浸して電気を流し、塗料を密着させる塗装方法。対象物を陽極(プラス)、電極を陰極(マイナス)として通電する方法(アニオン電着塗装)と、その逆の方法(カチオン電着塗装)があり、色や膜の厚さ、密着性に違いがある。対象物は導電性のあるものに限られるが、電着塗装は塗料のロスが少ない、環境にやさしいなどのメリットがある。

四国塗装工業株式会社

住所
香川県丸亀市川西町北1698番地1
代表電話番号
0877-24-0294
設立
1973年12月13日
社員数
115人(グループ)
事業内容
電着塗装、焼付塗装、金属塗装、スクリーン印刷
グループ
竜王金属株式会社(薄板板金加工、各種溶接加工)
株式会社春日(電着塗装、海外調達)
協同組合エフォートかがわ(材料・資材の共同購入)
地図
URL
https://www.shikokutosou.co.jp/
確認日
2024.07.04

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