ストレスをかけない飼育法で
おいしさを追求する

七星食品

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2025.05.10

(写真左から)生産事業部 肥育事業 係長・海部 哲央さん、生産事業部 繁殖事業 課長・渡部 泰光さん

(写真左から)生産事業部 肥育事業 係長・海部 哲央さん、生産事業部 繁殖事業 課長・渡部 泰光さん

感受性をもつ生き物として家畜などに心を寄せ、生きている間はできる限りストレスを排除して健康的に過ごせる飼育方法を目指す「アニマルウェルフェア」の考え方が世界的に広がっている。先進的な欧米では、家畜1頭あたりの飼育面積、病気への対策、本来の行動がとれる環境といった指針も定められ、消費者もアニマルウェルフェアで育てられたということが、商品を選ぶ基準の一つになっている。ただ、日本では認知度が低く、飼育環境を整えるための設備投資などハードルも高い。

そんな中、七星食品は約20年前から肥育農場にアニマルウェルフェアを導入。1頭あたり1.5~2㎡の広さを確保し、床にはおがくずやもみ殻を使った「バイオベッド」を厚く敷き詰めている。バイオベッドにはにおいを抑制する微生物が混ぜられており、清潔な環境の中、豚たちは穴を掘ったり泥浴びしたりと本来の姿でのびのびと過ごしている。
また、一般的に妊娠ストールとよばれる柵の中で飼育される妊娠中の母豚もここの繁殖農場では柵がなく、1頭あたり約2.3㎡が確保されているのも特徴だ。

コストも手間もかかるが、アニマルウェルフェアに取り組むのは、安全性と質の高い“七星の商品を選びたい”という消費者の存在があるから。飼料の配合を試行錯誤するなどのおいしさへの追求も続けながら、七星ブランドの確立を目指している。今後1年以内に、すべての農場にアニマルウェルフェアを導入する予定だ。

アニマルウェルフェアについてどんな取り組みをしていますか。

渡部 母豚と産まれた子豚たちが過ごす「繁殖農場」で、主にスタッフを管理する業務にあたっています。阿波ファームもアニマルウェルフェアを導入していて、一般的な農場は柵で仕切られていることが多いんですが、ここでは交配・分娩・授乳期間以外は柵が一切なく母豚たちは自由にのびのびと過ごしています。また、ICタグで個体ごとにどれぐらい餌を食べたかなどが分かるシステムも導入し、きめ細やかにケアできるのも特徴です。

海部 繁殖農場で20㎏前後になった子豚を、大きく元気に育てる「肥育農場」で仕事を行っています。同じ面積に多くの豚を入れると効率的かもしれませんが、それではいい豚は育たない。だから1頭当たりの面積を広く取り、厚く敷き詰めたバイオベッドもこまめに入れ替えて清潔な環境を心掛けています。自分たちの怠慢で命にかかわることもあるからこそ、気を引き締めてきちんと育てたいと思っています。

仕事への想いは。

海部 自然に近い環境で思い思いに過ごしているから、人懐っこい子や暑い時は水飲み場で涼んでいる賢い子など、個性がよくわかっておもしろい。同じように見回りしても、ちょっとした変化に気づけるかどうかは感性だと思うので、仕事をする上でそこは大切にしています。やっぱり管理している豚が元気に育つと嬉しいです。

渡部 まずは、繁殖農場で丈夫な子豚にしてからじゃないと、あとの肥育農場で大きく成長しないので、何より防疫に神経を使っています。私は、毎日景色が変わる仕事がしたくてこの道を選んだのですが、毎日違う豚たちの表情を見るだけでも充実しています。日々いろんなことが起こりますが、それを乗り越えられた時はやりがいを感じます。

今後について。

渡部 マネジメントする立場として、スタッフの育成にも取り組みたい。生き物相手の仕事は、ただこの時間に餌をあげるというような“作業”ではなく、変化をどう察知して対処するかという言葉で伝えづらいこともある。そこをどう共有していくか考えたい。また、すべての農場にアニマルウェルフェア導入が予定されていますが、それで完成ではないと思います。現在の改善点を新農場に活かしてレベルを上げていきたいです。

海部 それぞれの農場が切磋琢磨して、アニマルウェルフェア先進地であるヨーロッパの数値に近づける必要があると考えています。そのためにも、最先端の機械のこと、運営のあり方などについても勉強していきたいと思います。

◆キーワード


アニマルウェルフェア

「動物福祉」と訳され、生きている間できる限りストレスを少なく、行動欲求が満たされた健康的な暮らしができる飼育を目指すこと。対象となる動物は家畜のほかペットなど野生動物以外の動物で、世界では官民一体となった啓発活動や法整備が進んでいる。「飢え・渇きからの自由」「痛み・負傷・病気からの自由」「本来の行動がとれる自由」など5つの自由が基本原則として提唱されている。

株式会社 七星食品

所在地
さぬき市寒川町石田西721
TEL:0879-43-3590
FAX:0879-43-5497
設立
1965年
資本金
3025万円
売上高
71億4000万円(2012年5月期)
従業員
154人
沿革
1951年 七星精肉店創業
1965年 (株)七星を設立
1973年 (株)七星食品に社名変更
1973年 高知工場開設
1976年 寒川町(現在のさぬき市寒川町)に本社移転
1984年 高知営業所開設
1986年 岡山営業所開設
1990年 多和ファーム完成
1992年 高知第2工場新築 冷凍食品製造
1992年 PC事業(パック肉製造)開始
1995年 東京事業部開設
1997年 差別化戦略の一環として麦豚の生産販売開始
1999年 香川県特産 讃岐黒豚、讃岐夢豚の生産販売開始
2001年 高知PC事業開始
2006年 香南ファーム完成(2000頭収容の発酵式肥育豚舎)
確認日
2018.01.04

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