高校との連携をきっかけに
地域貢献活動がさらに広がる

遊食房屋

Cha✕Cha

2025.05.10

(写真左から)大西 未紗さん(香川県藤井高校出身)、高木 愛翔さん(香川高専詫間出身)

(写真左から)大西 未紗さん(香川県藤井高校出身)、高木 愛翔さん(香川高専詫間出身)

企業は、消費者をはじめ社会に対して責任を果たすために行動するという考え方があり、取り組む内容は教育、防災、環境など様々な分野がある。遊食房屋は、コロナ禍によって来店者が激減したことをきっかけに、従業員全員が自社の存在意義を改めて考え直し、「食」を通じた様々な地域貢献に取り組み始めた。

その一つが教育機関との連携だ。多度津高校海洋生産科の生徒が養殖したサヨリを、同社が運営するいくつかの店舗で試験的に安価で販売し、食べたお客さんから約300ものアンケートを集めた。その意見をもとに生徒たちはエサの配合を試行錯誤して食味を改良。納得できる品質になったサヨリを今度は、観音寺総合高校食物系列の生徒が多度津高校に出かけて料理する実習も行った。実習の際は、同社の副総料理長が魚のさばき方などを技術指導した。

関わった高校からは「育てる側と活かして調理する側が直接交流できるよう2つの学校をつないでくれたのはありがたい。料理の道を目指す生徒にとってプロの料理人から仕事について話が聞けたのもよかった」と喜びの声が寄せられたという。取り組みをきっかけに、幼稚園でのうどんづくり体験、大学との連携など活動も広がったほか、廃棄うどんをムラサキウニの飼料にして育てる「讃岐うどん雲丹」開発プロジェクトにも参画している。

これらの活動は、スタッフ一人ひとりのモチベーション向上にもつながっており、今後も全社あげて地域に必要とされるお店づくりを目指す。

多度津高校との取り組みで感じたことは。

事業部副総料理長 岡嶋 巧さん(香川県藤井高校出身)

事業部副総料理長
岡嶋 巧さん(香川県藤井高校出身)

岡嶋 料理人という仕事に興味をもつ生徒たちのお手伝いができて充実感がありました。料理人は創造性を活かせる仕事ですし、技術を追求するだけではなくお客様に喜んでもらうために何をするか考え続けるのが大切、ということも実習中にお話ししました。関わった生徒さんのうち何人かが料理人になって活躍してくれると嬉しいです。

細川 若いスタッフも実習に同行し、高校生の真剣な姿に刺激を受けていました。技術の前にまず仕事に向き合う心を大切にするべきだと、会社の人材育成についても改めて考えさせられました。

実習後に観音寺総合高校の生徒さんが、多度津高校の船に乗って海に行く、というような取り組みも始まったようで、いいきっかけが作れてよかった。関わっている生徒さんが卒業しても、両校のいい関係が続くようにできることがあればサポートしていきたいです。

連携の成果を地域にどう活かしていますか。

細川 多度津高校とのもう一つの取り組みである「讃岐うどん雲丹」のプロジェクトは、遊食房屋のグループ店舗「釜揚げうどん 岡じま」の製造過程で出る廃棄うどんやだしガラをムラサキウニの餌として有効活用するというもの。磯焼けの原因といわれているムラサキウニを回収して育てることで地域の漁業にも貢献できるほか、新たな特産品開発にもつながると考えています。取り組みは「かがわ食品ロス削減大賞」大賞も受賞しました。

岡嶋 幼稚園でのうどんづくりで体験は、保護者の方が後日お店に来て「ありがとう」と声を掛けていただきましたし、子ども食堂の食材調達のサポートをすることもあります。日ごろから地域の方たちと関わっていることで、お店との距離感も近づきます。災害時には、防災協定を結んでいる遊食房屋の店舗のことを避難場所として思い出してもらいやすいのではないかと思います。

今後の取り組みについては。

取締役営業部長 細川明宏さん(四国学院大学香川西高校出身)

取締役営業部長
細川明宏さん(四国学院大学香川西高校出身)

岡嶋 お客様からの声をもとに、災害時の非常食にもなる「しっぽく団子缶詰」の開発も多度津高校と連携して進めています。お声掛けいただけるのはありがたいことですし、新たな商品が生まれるのは嬉しい。今後も、生徒たちの学びのお手伝いができればと思います。

細川 今後は、特別支援学校との体験教室も計画中です。「お客様に料理をおいしく食べていただく」だけではなく地域があってこそのお店、という意識をスタッフ全員と共有しながら、様々な取り組みを続けていける体制づくりや人材育成にも力を入れたいと考えています。

◆キーワード


食育

様々な経験を通して食に関する知識とバランスのいい食を選ぶ力を身に付け、健全な食生活の実践を目指すこと。2005年に制定された「食育基本法」では、食育はあらゆる国民に必要であるが、子どもたちに対しては豊かな人間性の基礎となる特に大切なものと位置づけられている。近年は、CSR活動の一環として「食育」に取り組む企業も増えており、イベント主催や教育機関への出前授業など様々な活動が行われている。

株式会社遊食房屋

住所
香川県観音寺市本大町1495-5
代表電話番号
0877-41-9975
設立
2000年11月
社員数
512人(パート・アルバイト含む、2024年4月現在)
事業内容
和食店、焼肉店、うどん店、スパ、エステの経営
創業
1999年10月
店舗
遊食房屋(観音寺総本店、宇多津店、高松南店、国分寺店、四国中央店)
遊食房屋別亭 美味休心(高松木太店、西条店)
江戸小路 鮮 遊食房屋(新居浜店、丸亀店、岡山総社店、岡山倉敷店)
グループ
炭焼 肉の近どう(宇多津店、高松古馬場店、丸亀店、観音寺店)
釜あげうどん岡じま(丸亀店、高松店、多度津店)
イタリアンレストラン「COVO(コーヴォ)」
頭ほぐし専門店「森の眠り」
MEN’S STYLE(メンズスタイル)
SPA JEWEL(スパ・ジュエル)(宇多津店、高松店)
地図
URL
https://www.yusyokubouya.com/
確認日
2024.11.07

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