最初は果実を搾って使うことを考えたが、搾る過程で空気に触れる時間が長くなり酸化が進んでしまった。そこで、加工業者と相談しながら桃を新鮮なまま冷凍し、それをすりつぶしてピューレ状にすることで鮮度を保持。このピューレを全成分のうち40%も使用しているため、桃の繊維が程よく残り、とろみもある果実感たっぷりの味わいが実現した。甘いだけではなく酸味のバランスを調整した点も、生の桃のイメージに近づけた理由だという。
「おいしさを追求する上で、どうしてもピューレを40%使用したかった。でも、そのせいで成分が沈殿してしまう。それに、瓶詰めする時に果肉が管につまってしまうかもしれないという心配もありました」。これらの問題は、かき混ぜながら瓶詰めすること、瓶詰め前に繊維質を細かくする裏ごしのような工程を入れることで解決。飲んだ時の口当たりも向上させることができた。
現在、日本酒離れが進んでいるといわれているが、この桃のリキュールを手に取った人が西野金陵のことを知って、日本酒に興味を持ってもらえたら、と金子さんは期待している。「創業360年の歴史ある日本酒メーカーでリキュールを作る意味はそこにあると思います」。ほかにも文旦や瀬戸内のレモンなど地場の物を使ったリキュールを展開している。
とろみのあるお酒の開発については、(公財)かがわ産業支援財団の「新分野等チャレンジ支援事業」を活用。この事業は、同財団が県内の中小企業者などを対象に研究開発や販路開拓など幅広い支援を行う「かがわ中小企業応援ファンド事業」の支援メニューの一つ。平成30年度事業の募集開始は11月下旬を予定している。また、県内中小企業者と県内農林漁業者が連携し実施する事業に支援を行う「かがわ農商工連携ファンド事業」の募集も11月下旬開始予定。詳細は問い合わせを。
《公益財団法人かがわ産業支援財団》TEL.087・868・9903
お問い合わせ:西野金陵 TEL.0877・33・4133
HP:http://www.nishino-kinryo.co.jp/
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