地方と世界の好循環を生む 産学連携の地産外商

朝日通商 取締役相談役 荒井 実加さん

Interview

2024.06.20

坂出第一高校で行われた試食の様子(6月7日)

坂出第一高校で行われた試食の様子(6月7日)

海外販路開拓・拡大を目指す中小企業のビジネスコミュニティ『瀬戸内グローカルラボ』。主催の朝日通商が持つ物流ノウハウを生かし、瀬戸内エリアの企業の海外進出を支援するとともに、近年は地域産品の新たな価値を発掘・発信する地産外商の場として活性化している。
2019年に『かがわグローカルラボ』として発足した当初は、「コストやリスクを考えると自社のみでは輸出に踏み切れない」といった悩みを抱える地元中小企業の海外進出を、物流・商談面でサポートするのが中心だった。朝日通商が商品を買い取る形で海外へ流通させ、地元企業にとっては安心感のある海外販路が確立する仕組みだ。

「輸出支援を進めていく中で、より付加価値の高いものをつくって市場で差別化する必要を感じるようになりました」と荒井さん。2021年、瀬戸内エリアの新たなブランド創出と「循環型の地域活性化」をさらに強く打ち出した『瀬戸内グローカルラボ』に改称。多分野の専門家を招いた勉強会「スタディ」、異業種の交流「コネクト」、そこから事業としてのマッチングを育む「ビジネス」を三本柱とし、産学官連携のオープンイノベーションを目指す交流の場となっている。

今年5月にキックオフした12回目のラボは「エシカル」がテーマ。働き方と環境への配慮で2024年問題に立ち向かう物流業、エシカルフードを扱う生産者や企業、ブランド戦略や経営を専門とするIPU環太平洋大学特任准教授、同ゼミ生など「食のプロ」「物流・マーケティングのプロ」が多数参加し、坂出第一高校食物科製菓部の生徒が作り手となって、地域産品の魅力を生かす新しい「瀬戸内スイーツ」を開発する。物流会社が主催する産学・高大連携は中四国でも初の取り組みだ。生徒たちは企業のマーケティング活動にも参加し、市場を意識した本格的な商品開発に挑戦。同高校の三谷雄治校長は「自分たちが作りたいものを作る学校行事ではなく、企業と本格的にコラボした開発は初めてのこと。地域課題の解決に高校生として貢献しつつ、ものづくりの流れや地域食材の魅力を引き出す視点も学べて刺激になるのでは」と語る。
第11回ラボ「高松空港テスト販売会」(2023年8月)

第11回ラボ「高松空港テスト販売会」(2023年8月)

約1カ月の試作期間を経て設けられたプレゼンの場では、5チームに分かれた高校生がそれぞれ試作品を発表し、試食も実施。ラボのメンバーから生徒たちに向けて、食味だけでなく原価や物流コスト、コンセプトやターゲット層のペルソナなどについて掘り下げる専門的な指摘も飛び交った。
「結果を踏まえてさらに磨き込み、9月をめどに新商品に仕上げたい」と荒井さん。「瀬戸内という地方の豊かな日常を県外・海外へ発信し、瀬戸内に人や物の流れを呼び込む好循環をつくるのが、当社の目指す『グローカル・サーキュレーション』です。ラボの活動を通じて、新たなサイクルを生み出していけたら」と期待を込めて語った。

瀬戸内グローカルラボ
台湾の物流現場見学

台湾の物流現場見学

戸塚 愛野

株式会社朝日通商

住所
香川県高松市国分寺町新名1566-1
代表電話番号
087-874-6115
設立
1970年(有限会社朝日通商)
社員数
301人(2023年)
事業内容
一般貨物自動車運送事業
3PL事業
貨物運送取扱事業
倉庫並びに貸倉庫業
引越運送及び付帯作業並びにそれらに関する取扱事業
産業廃棄物・一般廃棄物の収集運搬業
物流センターの管理運営及び物流情報の収集処理事業
物品の仕分け、梱包及び発送業務の請負業
機械並びに車輌の賃貸業
各種自動車並びに同部品類の販売
不動産の売買・仲介並びに賃貸業
ものづくり事業
作業請負事業
貿易代行事業
販売事業
一般建設業
関連会社
大川陸運株式会社
村上運輸倉庫株式会社
地図
URL
https://asahitsuushou.co.jp/
確認日
2024.03.21

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