物流と販売支援の相乗効果で
地域の産品を国内外に発信

朝日通商

Cha✕Cha

2023.11.27

年間の時間外労働の上限が960時間となる「物流の2024年問題」を前に、慢性的な人手不足やドライバーの高齢化に悩む物流業界では、長距離輸送から撤退する事業者も増えるといわれている。そんな中、朝日通商は“物流に新たな価値”を加えるため、様々な取り組みを行っている。

例えば「リレー輸送」は、今まで一人のドライバーが2日程度かけて四国―関東間を輸送していたものを一台のトラックを4人でリレーすることで労働時間短縮、働き方改革、コスト低減が実現する画期的な手法だ。

このリレー輸送を、販売支援事業にも展開。トラック一台に満たない量の商品を輸送したい複数の顧客の荷物を積み合わせる「中ロット混載便」と冷蔵車でのリレー輸送を組み合わせることで、新鮮な地元の産品を首都圏で販売したいが輸送コストや時間の問題であきらめていた顧客のニーズに応えられるようになった。

また、物流だけではなく取引先の販売支援事業として、瀬戸内の魅力的な商品を国内、海外向けに販路拡大することを目指す「瀬戸内グローカルラボ」も主催する。地元の生産者、企業、大学生などとともに国際ビジネスの勉強会、高松空港でのテスト販売や生産者と企業をつないだ商品開発といった活動を実施。

今後は、地域商社としての役割を果たしながら、その収益で地域の課題を解決するとともに、ラボの活動を通した人材育成も視野に入れている。

瀬戸内グローカルラボ立ち上げの 背景を教えてください。

管理本部 井上 幸さん(高松西高校出身)

管理本部
井上 幸さん(高松西高校出身)

【齋藤】食品関係の事業者・生産者を中心に取引先の多くが「販路拡大」の課題を抱えていました。市場が縮小する中で、海外に販路を広げたいが物量が少ないので船は使いづらい、現地での配送が分からないといった物流についてや、販売先を見つけられない、販売後に消費者からのフィードバックがほしいなどの声もありました。そこで、悩みを共有しながら専門家を招いて勉強会をしよう、というところから始まりました。

【井上】勉強会では貿易、マーケティングなどの専門家を集めてのセミナーのほか、輸出後の現地での保管状況や物流を視察するためメンバーで台湾なども訪問しました。コロナ禍でオンラインでの商談を進めたことから、現在は生産者とバイヤーがLINEでスピーディーにやりとりするように。販売については朝日通商が生産者から商品を買い取り、バイヤーに販売する体制を確立することで、少しでも生産者の負担を軽減したいと考えています。

どんな活動に携わりましたか、 またその成果は。

四国支店 営業事務 齋藤 千明さん(高松中央高校出身)

四国支店 営業事務
齋藤 千明さん(高松中央高校出身)

【井上】地域の産品を多くの人に知ってもらうため高松空港で開催したテスト販売に携わりました。販売を担当した商品を気に入ってもらえたり、ありがとうと言われたりしたのが嬉しかった。

普段は直接消費者と関わる業務ではありませんが、自分の仕事が間接的に誰かの役に立っているということを意識するようになりました。あとは、買い物に行っても生産者目線でパッケージを気にするようになりました。

【齋藤】申請書類の作成や、消費者の声を聞くためのアンケート作成といった業務で社外の方とコミュニケーションすることも勉強になります。与えられた仕事だけではなく、自分で考えて業務が進められるようにしたいと思います。

今後に向けて、どんな展開を 目指していますか。

【齋藤】ラボの活動を社内にももっと発信したい。活動を発展させるために、また物流の新たな価値を生むために会社では人材育成にも力を入れています。

【井上】これまで、勉強会では海外への販売に軸足を置いていましたが、今後は国内での販路拡大にも力を入れていく予定です。また、ラボでも新たな商品を開発してそれを国内外に発信・販売できればと思います。

高校の時にやっておいた方がいいこと

井上さん
高校の時、自分が興味あることをいろいろ調べていた記憶があります。関係する分野にも興味を広げて掘り下げると、それが将来の仕事につながることもあるかもしれません。

齋藤さん
将来の夢があるなら、実現するためにどんなことをしたらいいのか、具体的にプランを考えて行動するのがおすすめです。

◆キーワード


物流の2024年問題

働き方改革関連法により、ドライバーの時間外労働の上限規制が2024年4月から適用されることによる様々な影響のこと。時間外労働時間が年間960時間に制限されることで、一人あたりの走行距離が短くなり長距離で物を運べなくなる、ひいては企業の売上減少、物流コスト高などが指摘されている。そのため、荷主と協力した待ち時間・積み下ろし作業の効率化のほか、荷物の受付や配車業務のIT化なども進める必要がある。

株式会社朝日通商

住所
香川県高松市国分寺町新名1566-1
代表電話番号
087-874-6115
設立
1970年(有限会社朝日通商)
社員数
301人(2023年)
事業内容
一般貨物自動車運送事業
3PL事業
貨物運送取扱事業
倉庫並びに貸倉庫業
引越運送及び付帯作業並びにそれらに関する取扱事業
産業廃棄物・一般廃棄物の収集運搬業
物流センターの管理運営及び物流情報の収集処理事業
物品の仕分け、梱包及び発送業務の請負業
機械並びに車輌の賃貸業
各種自動車並びに同部品類の販売
不動産の売買・仲介並びに賃貸業
ものづくり事業
作業請負事業
貿易代行事業
販売事業
一般建設業
関連会社
大川陸運株式会社
村上運輸倉庫株式会社
地図
URL
https://asahitsuushou.co.jp/
確認日
2024.03.21

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