顧客のニーズを出発点に
新市場・新商品に挑戦し続ける

イナダ

Cha✕Cha

2023.11.27

yBK

商品開発

販売戦略

販路開拓

多角化

工場長補佐稲田佳多朗さん（写真左）、常務取締役　稲田伊知郎さん

1918年に農業機械の製造会社として創業したイナダは、鉄板を切る、曲げる、溶接、塗装とあらゆる加工技術がある。その技術を活かした産業用特殊運搬車輛やクレーン部品の製造に加え、産業用バッテリーなども取り扱う。時代の流れとともにニーズが変化してきた中で、常に新しい製品づくり、新分野に挑戦し続ける社風が現在につながっている。

今、取り組んでいるのが「犬用サプリメント」の開発・製造だ。中国を訪れた際の漢方「冬虫夏草」との出会いと、家族の一員である愛犬への健康志向の高まりが結びつき、冬虫夏草を使ったサプリを思いついた。材料となる漢方の安定確保など苦労もあったが、専門家監修のもと小豆島産オリーブの葉を配合した「犬皇丸（けんこうまる）」を発売した。

これを機に、本業の板金加工技術を活かし、オーダーメイドのエサ台・フードボールスタンドの製造も検討。新たな市場開拓を視野に入れている。

全く新しい分野となる「犬皇丸」開発にいたった経緯は。

常務取締役
稲田伊知郎さん（大手前丸亀高校出身）

【稲田】農業機械メーカーとして創業した当初、少しでも農家さんが楽になるように、という視点でものづくりをしていました。誰かの役に立つ製品を、という理念は今も変わりません。今回開発した犬用サプリ「犬皇丸」も、家族の一員としてペットに愛情を注ぐ飼い主さんに少しでも役に立つ製品ができればという思いが背景にあります。

【高橋】製造体制について最初は原材料の安定調達に苦労しましたが、今では安定供給できるように。また、香川らしさも出したいと思い、抗酸化作用があるといわれる「オリーブの葉」を配合した点も特徴です。

販売や情報発信についてはどのように考えていますか。

製造部生産第2課TO班
高橋司さん（笠田高校出身）

【高橋】使っていただければ本当にいい商品であることが伝わると思います。そこで、手に取りやすい小さいサイズも発売したほか、弊社の“イヌ常務”がTikTokやInstagramで犬皇丸をPRしています。SNSの口コミや使用者へのアンケートで寄せられた声を販売先に丁寧に伝えるなどの取り組みも行っています。

【稲田】ペットショップなどで広く販売する前に、まずはターゲットを絞ってじっくり訴求したいと思っています。例えば、動物愛護センターや警察犬訓練所など。全国に支部がある秋田犬保存会、日本犬ぞり連盟に商品をお持ちして説明したこともあります。

また、キャンピングカーのオーナーは犬を飼っていることも多い。そこでキャンピングカーのイベントにも参加しました。イベント参加は弊社が扱っているバッテリーの取引先からご縁がつながりました。

「犬皇丸」で新分野を開拓したことで本業へのいい影響はありましたか。

犬皇丸（けんこうまる）

【高橋】鉄などを加工する技術を活かして、名前入りオーダーメイドのフードボウルなども検討中です。犬皇丸について情報発信する中で、「角度をつけたペットフードスタンドを作れないか」といった要望もいただきます。培った技術を活かしてお応えできればと思います。

【稲田】全く関係のない分野のようですが「誰かの役に立つ」という根本は同じです。高校生と一緒に地元サッカーチームのノベルティを開発したこともありますが、ノベルティである鉄のメッセージカードの製作、板金は弊社が手がけました。事業は様々な人が支えてくれるから成り立つ。どんな分野に参入したとしても、創業時の理念は忘れないようにしたいと思います。

高校の時にやっておいた方がいいこと

稲田さん
遊びでも勉強でも本気で打ちこめる何かを見つけること。失敗してもいいからいろんなことに挑戦して。旅行などで外の世界を見てほしいと思います。

高橋さん
今しかない学校生活を思いっきり楽しむことと、友達をたくさんつくること。友達と過ごす時間の中で刺激を受けることも多いと思います。

◆キーワード

BtoB／BtoC

BtoBは企業を相手に事業や取引を行うことで、BtoCは一般消費者をターゲットとしたビジネスのこと。前者は資本の大きな企業を相手にしたり、継続的な取引になることから経営基盤が安定しやすいという利点が、後者は消費者の反応を得られることで商品が人々の生活に役立っているという実感が得やすいという特徴がある。