「オリーブサーモン」の成長不良魚
有効活用に向けレトルト商品づくり

Interview

2024.06.20

川魚のニジマスを海水に慣れさせ、さぬき市や東かがわ市などの瀬戸内海で養殖するブランド魚「オリーブサーモン」。オリーブ葉の粉末を添加した飼料で一定期間以上養殖したサーモントラウトのことで、くせのない味わいになるうえ、生き締めしたものが1~2日で店頭に並ぶため新鮮と人気。

春の味覚として定着しつつあるが、多い時には3割が大きく育たないなど、成長のばらつきが課題だ。その成長不良魚「通称ビリ」を有効利用しようと、香川県立多度津高校海洋生産科食品科学コースの生徒たちが商品開発に取り組んでいる。

県水産課からの依頼がきっかけ。目指すのは、ブランド魚になれず、安い値段で取り引きされるビリの付加価値向上。同コースの研究は、これまでハマチやハモなどを使ったレトルト食品づくりの実績があり、同様の方法で地域貢献を図る。

1回目の試作は、3年生が実施。生徒らは、解凍したビリのうろこやえら、内臓などを取り除き、オーブンで火を通し、たれを加えて真空包装し、殺菌窯でレトルト処理する一連の作業を丁寧に行った。レトルト処理で高い熱と圧力を加えるため、骨までやわらかくなり、頭から食べられる。常温で長期保存できるのも特長だ。

出来上がった試作品では、「魚から出た汁でたれが薄まる」「川魚のにおいがある」などの課題が見つかった。約1カ月後、それを踏まえて改良したレシピを2年生が試した。たれの味を濃いめにし、うま味調味料やショウガを加えて食味の向上を狙ったところ、概ね好評という。

同コースでは、卒業後、食品加工の企業へ進む生徒も多い。岡田智宏教諭は、「食品加工技術を使って、未利用資源の有効利用や地域の流通経済に貢献することができる。それを身をもって実感してもらえたら」と話した。

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