妻と自給自足する生活 夢見るCADの技術者

産業技術総合研究所 四国センター所長 松木 則夫さん

Interview

2012.10.04

元々は日本ユニシスでコンピューターを使って自動的に設計したり製造したりするCAD・CAMを専門とする技術者だった。スカウトされて政府系の研究機関産業技術総合研究所(産総研)の一員となり、今春から四国・高松に妻規子さん(56)と愛犬ナツちゃん(3歳、メス)とともに"3人"で赴任した。

愛犬も玄米菜食が基本

数年前から口にする食材は玄米と野菜。最近は焼き魚は食べるようになったが、肉類は決して食べない。ナツちゃんはアメリカンコッカースパニエルとトイプードルを掛け合わせたコッカプーという犬種だが、市販のドッグフードは食べない。夫妻に付き合って規子さんが愛情込めて調理した犬の玄米菜食のエサを食べる。ナツちゃんのだけは鶏のささ身が入った特別料理だ。

東京生まれの東京育ちだが、「前からもう東京には住みたくない、と思っていたところでした。四国行きは二つ返事でした」。人間の生活には必要ないものをどんどん切り離している。まず、家。東京の1等地にあった自宅マンションを売却した。続いて車。2台あったが、1台を手放した。高松では空港に近い円座地区に家を借りて、ことでんとバスを乗り継いで高松市林町の職場に30分程度かけて出勤している。

前職は産総研つくば本部の部長。通勤は東京から2時間。つくばエクスプレスの中で推理小説を読んだ。そんな本も含め書斎には膨大な書物がある。しばらく前から整理しているが、「これから片っ端から捨てる」そうだ。「死ぬまで手元に置いておきたい本だけ残します」

産総研は旧工業技術院の後継組織だ。「日本株式会社」と欧米から呼ばれた高度成長期、日本の産業技術について基礎研究した政府系の巨大研究機関だ。その流れを受け継ぎながら全国10カ所に置かれた各センターは独自の研究テーマと陣容を持っている。四国センターは「健康工学研究部門」を受け持つ。健康の維持管理、病気の予知に関する装置の開発やその基礎となる様々な研究と取り組む。

仕事は研究環境の整備充実

ヒトの血液でその人がどれだけのストレスにさらされているかがわかる計測装置開発の研究やいろんな病気のシグナルをマイクロチップなどを用いて検出する手法の開発研究などが進む。所長は、研究部門のリーダーではない。産学官をうまく連携し、研究者が研究に没頭できるような環境づくりが仕事の中心。「実験室の排水口が詰まっているから直すとか、すべて私が最終責任者です」

毎朝5時に起床して1時間ほどナツちゃんを散歩させる。「妻の名前と私の名前を合わせると『規則』になります」。完全にリタイアしたら田舎で自給自足の暮らしをするのが"規則"夫妻の夢だ。

松木 則夫 | まつき のりお

略歴
1954年8月4日生まれ 東京都出身
1980年3月 早稲田大学大学院理工学研究科数学専攻卒
1980年4月 日本ユニバック(現日本ユニシス)入社
2000年7月 通商産業省工業技術院機械技術研究所 入所
2006年4月 工業技術院が産業技術総合研究所に
2006年4月 デジタルものづくり研究センター センター長
2009年2月 博士(工学)東京大学
2010年5月 産学官連携推進部門 部門長
2010年10月 イノベーション推進本部 産学官連携推進部
       部長
2012年4月 四国センター所長

産業技術総合研究所四国センター

所在地
高松市林町2217-14
TEL.087・869・3511/FAX.087・869・3554
設立
1949年5月
(商工省大阪工業試験所四国支所として)
組織
健康工学研究部門
産学官連携推進室
研究業務推進室
職員数
研究職22人/事務職10人
地図
URL
http://www.aist.go.jp/shikoku
確認日
2018.01.04

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