栗林公園の美しさは松、水、そして動く鯉―

灸まん美術館 西谷美紀

column

2019.03.07

2013年まで栗林公園の土産物店で使われていたショッピングバッグの図案

2013年まで栗林公園の土産物店で使われていたショッピングバッグの図案

琴平町出身の和田邦坊は、1899年生まれ。今年で生誕120周年を迎えます。時事漫画家、小説家、農業学校の講師、讃岐民芸館館長、デザイナー、画家、商業プロデューサーなど様々な顔をもち、香川のあれもこれも手掛けたマルチクリエーターとして注目されています。今回は、邦坊が栗林公園に勤務していた頃のデザインの仕事を紹介します。

邦坊は、当時の県知事・金子正則からの招へいを受けて1954年から栗林公園内にある商工奨励館の嘱託職員として勤務しています。主な仕事は、讃岐民芸館設立準備とともにデザイン指導などでした。その仕事のなかで、栗林公園内にある広報物・印刷物のプロデュースも手掛けるようになりました。かつて商工奨励館・西館にあった香川県物産協会では、邦坊がデザインしたショッピングバッグを使っていました。いまは使われていませんが、この派手な色合いに見覚えのある人もいるのではないでしょうか。

邦坊の手書き文字で「栗林公園」「四国高松」と書かれた面には、柵越しに群立する松が描かれています。もう一方は、画面いっぱいに折り重なる鯉の姿で賑わっています。赤と黒の配色は、栗林公園にある黒松と赤松だけでなく黒鯉や赤鯉のイメージも込められています。

灸まん美術館は邦坊がデザインした「こい最中」というパッケージ資料を所蔵しています。栗林公園の鯉をモチーフにしており、由来を読むと「栗林公園の美しさは松、水、そして動く鯉。観光客の誰もが橋の上に立って、この古風な純日本的庭園に嘆声を発するのは、松、水、そして動く鯉なのである」という文章が綴られています。邦坊が思う栗林公園の美しさは、バッグの図案で表現されたとおり松と鯉であったようです。

ちなみに「こい最中(もなか)」の由来は、栗林公園の“鯉”から松平頼豊とお菊の“恋”の話へと続き、最後の一文は「恋最中(こいさいちゅう)とお読み下さいましても結構で……」というオチで終わります。栗林公園のセールスポイントを的確に見抜き、ユーモア小説家として一世風靡した邦坊らしい文章ですね。

灸まん美術館学芸員 西谷 美紀

讃岐民芸館、四国村などを経て灸まん美術館学芸員。和田邦坊を研究。2019年4月に「和田邦坊デザイン探訪記・続編」を刊行。県内図書館などに献本し、灸まん美術館でも販売予定
写真
灸まん美術館学芸員 西谷 美紀

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ