
それらの答えを求め、著者は数多くの関係者に話を聞く。開催を決断した元香川県知事・真鍋武紀氏は決断に至った理由や、他組織と協働する際の信頼関係の大切さに言及するとともに、芸術祭の継続と島の振興を進めるのは行政の仕事であると力を込める。芸術祭の継続・発展をけん引した前香川県知事・浜田恵造氏は、アートだけではなく地方のよさをいかに発信していくかが重要と言い、継続への努力や環境に合わせて柔軟に中身を変える方がよいと、今後に思いを寄せる。
瀬戸内海の島々の豊かな営みや文化はもちろん、負の歴史までも踏まえた上で、アートの役割、地域課題との向き合い方、芸術祭の運営、芸術祭が地域に何をもたらしたのかなど、様々な角度から丁寧に調査・分析した本書は、地域の宝に目を向けるきっかけにもなり、地域振興の有意義な示唆ともなる。芸術祭に対して様々な意見があるが、大事なのは、芸術祭が、ひいては自分が住んでいる場所がどうあるべきか、考え続けることかもしれない。
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