リアリティーと存在とホワイボン

川島猛アートファクトリー理事 岡田佳代子

column

2019.05.02

川島猛さんと

川島猛さんと

川島猛との出会いは今から45年前、流スタジオのパーティーでお目にかかってからだ。それから間もなくして宮武画廊で川島の作品に初めて出合った。現代アートには、全くの素人だった私は、その絵から楽しさと音楽が聴こえてくる不思議な感覚を味わった。アートと関係のない職業の私たち夫婦なのに、それ以来途切れることなくお付き合いが続いている。

ニューヨークのアトリエに数回伺い、アイスホッケーを観戦しに行った。足を延ばしてブラジルサンパウロビエンナーレに行ったこともある。中でも、リオのコルコバードの丘へ行った時のことは印象的だった。さっきまで霧で見えなかったキリスト像がほんの1~2分浮かび上がった。「うわーっ、見えた見えた」。その時見せた少年のような笑顔は今でも覚えている。屈託のないこの笑顔が私は好きだ。

「人に優しく、人を大切にする」というのが川島のライフコンセプト。私の娘2人がそれぞれアメリカに留学した時も、「アメリカのお父さん、お母さんにならなくちゃ」と面倒を見てくださった。「Takeshi&Junko」のサインが表す通り、いつも傍らには順子夫人が寄り添う。

「僕はリアリティーと存在とホワイボンが好き」。いつお会いしても、お酒が入るとこの3つの言葉が三種の神器のように出てくる。「ホワイボン」つまり「Why you were born?」

彼はそれを求めてずっと絵を描き続けている。89歳になった今もまだ見つからない。doingの世界だそうだ。

高松に帰郷してから描いた「宇宙華」「宇宙舞」に続く「宇宙環」の最新作は、2019年瀬戸内国際芸術祭の会場である男木島で、川島猛とドリームフレンズが制作を行い、素晴らしい空間になっている。89歳のエネルギッシュな作品から元気をいただきに、出かけたいと思っている。

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